最近、「トランプ関税」という言葉をニュースで見かけます。「関税ってなに?」「アメリカと中国の話が、私たちに関係あるの?」と思うかもしれませんが、じつはこの話、私たちの生活にもじわじわと影響してくる可能性があります。私たちの暮らしにどのように関係してくるのか、ファイナンシャルプランナーの塚越菜々子さんがわかりやすく解説します。

スーパーに並ぶ肉
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パンもお肉もじわじわ値上がり。その原因って?

最近、「また食費が上がってる気がする…」と思いませんか? スーパーでおなじみのパンが数十円高くなっていたり、いつものお肉が前より量が少なくなっていたり…。

家計簿をつけていなくても、「なんとなく高くなってるな」と感じている方は多いのではないでしょうか。

実際、物価はこの数年でじわじわと上昇。食料品、日用品、ガソリン代、電気代…どれも生活に欠かせないものばかりだからこそ、出費が増えると家計にずっしり響きますよね。

でも、「なんで高くなってるの?」と聞かれると、答えるのが難しいものです。

「円安?」「世界情勢?」「輸入の問題?」――さまざまな要素がからんでいるのはたしかですが、最近また注目されているのが、アメリカ・トランプ大統領の「関税」の話題です。

「関税」ってなんとなく聞くけど…なに?

関税とは?
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関税とは、外国から商品を輸入する際にかけられる「税金」のこと。「海外からものを買うときの通行料」と考えるとわかりやすいかもしれません。

海外でつくられたものを輸入し、国内で販売する業者は、そのときに日本政府へ関税を支払う必要があります。この関税があることで、外国産の商品は国内産よりも価格が高くなるものもあります。

関税がかけられるおもな理由は2つ。1つ目は、国が税収を得るため。2つ目は、安い外国製品が大量に入ってくるのを防ぎ、自国の産業を守るためです。

実際、日本では「お米」に高い関税をかけています。これは、安い外国産のお米が市場にたくさん出まわることを防ぎ、日本の農家を守る目的もあります。

トランプさんが言ってる「関税アップ」って、どういうこと?

世界中の国が関税を活用
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関税をかけるのは日本だけではありません。世界中の国が、自分の国の産業や雇用を守るために関税を活用しています。

アメリカの大統領、ドナルド・トランプ氏もそのひとり。

彼は「安い外国製品がアメリカ国内にどんどん入ってくると、アメリカの工場が潰れてしまう。国内でつくって売ればいい」として、高い関税をかける政策を打ち出しました。

さらに「アメリカに高い関税をかけている国には、アメリカも同じくらいの関税で対抗する」という「相互関税」というルールを導入。日本に対しても、24%の関税をかける方針を発表しました。

このようなアメリカの姿勢に対して、多くの国が「もう少し関税を下げてほしい」と交渉を求めました。ところが中国は、アメリカと交渉するのではなく、アメリカ製品に高い関税をかけて対抗したのです。

これにより、アメリカと中国がおたがいに関税をかけ合う「貿易戦争」のような状態に。この激しい対立は、世界全体の経済にも悪い影響を与えると心配されています。