ハウスメーカーで2階建て住宅を建てたライターが、階段のプランニングについて、自らの経験から失敗談を語ります。安全性に気をつけて設計したつもりなのに、どんな点が危険&不便なのか? これから家づくりをする人は、ぜひ参考に。

折り返しの階段
省スペース化のため、階段の曲がり角の一部だけに踊り場に。長方形でない踏み板が3枚あるので、子どもが足を踏み外すことに…
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変形した3枚の踏み板で足を滑らせることに…

小さな踊り場

家づくり当時、筆者の子どもたちの年齢は6歳と3歳、私たち夫婦は30代。

今若くても、年を重ねれば少しずつ体の自由が利かなくなっていくはず。転倒・転落の防止は、家づくりにおいてとても重要だ。そう考えていました。

1階図面

とくに気をつけたのは、階段の設計です。わが家では、限られた床面積のなかでなるべくコンパクトに階段を確保するため、「踊り場+変形踏み段」の折り返し階段を選択しました。

このスタイルの階段であれば、踊り場のスペースが少ない分、省スペースになるのです。また折り返し階段は直線的な階段と違って、万一、途中で足を滑らせても階下まで一気に落ちることがありません。

しかし曲がる部分では足場となる踏み段が三角形のような形になり、踏み外してしまう危険性があります。そこで仮に踏み外したとしても、途中で止まれてケガのリスクを少なくできるように、踊り場を1階側のカーブ(折り返しの中心ではなく、曲がりきった地点)に設置しました。

ちなみに、三角形になっている階段は3段だけですみました。リスクとなる踏み段を減らせてよかった!

と思っていたら、引っ越し早々、子どもがよりによって3枚の変形踏み板のどこかで足を滑らせてしまったのです。幸い、おおごとにはなりませんでしたが…。

どうも中途半端に3枚だけ変形の踏み板があることで、階段の上り下りのリズムが崩れやすいようなのです。また、急いでいるときに、変形の踏み板の内側の面積の小さなところをつい通ってしまい、階段を踏み外すことも。

そして大人である私たちも、大きな荷物や布団を抱えて、足元が見えない状態だと、「どこから三角の踏み台だったっけ?」とわからなくなり、とても怖い…。

本当は折り返し部分のすべてを踊り場にする方が安全です。しかし、不採用にしています。実現するには、予算を上げて坪数を増やすか、階段1段ごとの段差を高くする必要がある、と設計担当者に言われたからです。

毎回こんな思いをすると知っていたら、踊り場を大きくつくっていたのに…。

引っ越しから3年経過して、家族はだいぶ慣れたものの、階段を走り降りる子どもたちに毎回ハラハラしています。