夫婦間で気になったことを伝えるとき、どんな風に接していますか? 言いにくいことはときにケンカに発展してしまうこともあるかもしれません。そんなときの上手な伝え方を、エッセイストの小川奈緒さんが紹介してくれました。
気になることはすぐに軽めに伝える
「お金のことなど、夫婦間で言いにくいことを伝えるとき、どうしていますか?」
と、Voicyのリスナーさんから質問をいただきました。
同じような質問を時々受けますが、そのたびに「私たち夫婦には、そもそも言いにくいことが、あまりないのかもしれない」と気づきます。おそらく、ちょっとでも気になることは、その都度、軽めに伝えているからかもしれません。つまり「言いたいけれど言えていないこと」を溜めないので、「言いにくい」状態までにならないのです。
お金、子育て、仕事、介護、体調……夫婦で真面目に話し合わなくてはいけないことは、いろいろあります。自分ひとりで決められないこともあるし、自分がやりたいことに相手の協力が必要なときもある。
そのたびにふたりの意見がピッタリ合い、いつも仲よく心はひとつ、なんてことは、もちろんありません。
よくあるのは、思い立ったらすぐ動き出したくなるせっかちなわたしに対して、夫はマイペースで気分が乗るまで動かない、というパターン。こういうときは、まず私ひとりで先にやれることはやり、夫にはこまめに報告だけしておきます。
お互いのタイミングで別々に行動する
たとえば、私たち夫婦は2020年からNISAとiDecoを始めましたが、同時に口座を開設したのではなく、私のほうが数か月早くスタートしました。
書籍企画のとおりにくさや本の売り上げ不振などによって、出版不況の深刻さを肌で感じていた私が、この先はいよいよ依頼仕事をあてにできなくなるだろうと危機感をもち、苦手意識のあったお金の勉強を本や講座で始めました。
そうして積立投資の口座を開設したのが、ちょうどコロナ禍が本格化する前。一方の夫は、私が手続きをしていたときは大きな仕事に取りかかって締めきりに追われていたため、緊急事態宣言が出てステイホーム期間に入ってからやっと腰を上げました。仕組みや流れをひと通り理解した私が、いろいろ教えながら開設までこぎつけた記憶があります。
どうせやるなら、夫婦一緒にやってしまったほうが効率はいいのかもしれません。でも、気が乗っていない相手の首根っこをつかんで強要しても、いい雰囲気で作業はできないでしょう。出会って20年近くにもなると、相手の性格がわかってきて、なんでも一緒にやることばかりが仲がいいわけではなく、お互いのリズムを尊重して、あえて別々にやることで仲が悪くならない、そういう関係性もあるんじゃないか、と思うようになりました。