アメリカの医師試験をトップ1%で合格し、現役医師として第一線で活躍している安川康介先生。運営するYouTubeチャンネル『米国内科専門医 安川康介の医学チャンネル』では、複雑でわかりにくい医療情報を、医者の立場から正確かつわかりやすく発信。その質の高いコンテンツは多くの視聴者に支持され、登録者数は17万人に達しています。

家族とアメリカで暮らしている安川先生(※写真はご本人提供)
家族とアメリカで暮らしている安川先生(※写真はご本人提供)
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年齢を重ねて、親になっても勉強しつづける理由

安川先生は現在、妻と10歳の娘、7歳の息子とともにアメリカで生活しています。まず、アメリカの教育について尋ねると、小学校では一般的な教育に加えて、「非認知能力(物事に対する感情や行動、態度に関わる能力)」を育てる教育をしていると話してくれました。

「娘が1年生のとき、最初の週に『友達になにか嫌なことをされたら、どう反応したらいいのか?』ということを習うのですが、(1)無視する、(2)その場から離れる、(3)優しい口調でやめてと伝える、(4)強い口調でやめてと伝える、(5)大人に言う。この順番です。単に『みんなで仲よくしようね!』という話ではないんです。

それに小学校3年生では、『グロースマインドセット(能力は成長する)』と『フィックストマインドセット(能力は固定している)』という考え方についても学びます。したがって、自分は勉強ができないのではなく、勉強すればできるようになるという考え方になります。子どものときからきちんと教えておくことが大事だと感じました」(安川先生、以下同)

「大切な言葉は家庭でも教え、親も勉強し続けなければいけない」と感じている安川先生。子どもに教えることで自分も多くのことに気づきます。だからこそ、自分が経験してきたことや大切だと思うことを子どもに教えたいと語ります。

「あとは、親が『この知識は大事じゃない』、『この算数は大人になったら使わないよ』といったことを言ってしまうと、子どものやる気も失せてしまう。新しい知識が、どのように自分の生活や将来に関係しているのかを、大人がきちんと説明したほうがいい。子どもにいろいろ教えられるようになるためにも、大人になっても学び続けるのは非常に重要です」

高い目標を達成するためのカギは「自己効力感」にあり

しかし、勉強を含む多くの物事は、継続することが難しい場合が多いです。そこで大切になるのが「自己効力感」なのだそう。

「自己効力感とは、『自分はできると思うこと』です。この感覚が非常に重要。自己効力感も非認知能力の1つで、これがあるかないかで大きく違います」

では、自己効力感はいったいどのようにつければいいのでしょうか?

「著書にも書きましたが、簡単な方法は、達成可能な小さな目標を設定して成功体験を積み重ねていくことです。それが自分にもできるという自信につながります」

●大事なことは自分の中で高めて達成すること

たとえば、英語を勉強したい場合は毎日3個の英単語を覚える、1日5分勉強する。ダイエットなら10分散歩する、食事の量を少しだけ減らすなど、無理なく自分ができる範囲内で目標を設定することがいいそうです。

「突然大きな目標を設定すると挫折してしまいます。だからまずは簡単で小さな目標を設定して、それをクリアしていく。そして、自分と似たような立場の人が達成している姿を見たり、話を聞いたりするのも効果的です」

小さな目標を達成できたら目標を少しずつ大きくしていく。大事なのは自分の中で高めて達成することです。そうやって自己効力感をつけていきます」