仕事や育児で忙しい日々を過ごしていると、なかなか取れない親との時間。しかし、親も高齢になると、徐々に体力が落ち、家にいる時間が増えてしまいがち。だからこそ、親が元気なうちに確保しておきたいのが「外食」と「小旅行」の時間です。今回お話を伺ったのは、豊富な介護経験を積み、故マザー・テレサ氏とも懇談をした、現役ケアマネージャーの田中克典さん。家族での「外食」と「小旅行」を恒例にするメリットや注意点について、詳しく解説してもらいました。
すべての画像を見る(全5枚)一緒に外食することが「気分転換」に
親を外食に誘うのは、とくに家にこもりがちな親には、外に連れ出す動機になりますし、手頃にできる恩返しとしておすすめです。おいしいものを食べに行き、子や孫とおしゃべりすることは、親にとってとてもいい気分転換になります。
ここで大事なのは、親のリクエストを優先すること。親子で生活時間帯が違いますから、「夜は早く寝たいので、ディナーよりランチがいいわね」などという親の希望に合わせましょう。
お店も、どこの料理が食べたいか、具体的な店名を聞く。もし店名が出てこなかったら、「久しぶりにイタリアンが食べたい。ゆっくり落ち着けるレストランがいいわ」といった希望を聞いて、それに沿う店を予約しましょう。
「ランチのあと、評判のスイーツも食べに行こう」「デパートでショッピングしよう」と、そのあとの楽しみも計画すれば、思い出の一日になるでしょう。
●家族で出かけたら「記念写真」を撮る
後日、親が振り返れるように、写真を撮ることも忘れずに。
息子や娘と食事に出かけるとなると、親は「きれいにしていかなきゃ」と、ちょっとよそ行きの服を着て、父親は髪を整え、母親はメイクをする。身支度を整えると、姿勢がよくなり、気分も明るくなります。
まさにいいこと尽くめの恩返し。できれば定期的に外食の機会を設けるといいですね。
親にリクエストを聞いて、毎回同じ店の名前しか言わない場合は、ときには子どもから、「おいしいうなぎ屋さんがあるから行ってみない?」と提案するのもいいでしょう。
●ついつい言ってしまいがちな「禁句」
親の健康を気遣うがゆえに、子どもは「お父さん、コレステロール値が高いんだから、肉は控えて!」、「お母さん、そんなに食べると、また太るよ!」などと言いがち。
健康管理は大事ですが、親が衰えて食べられなくなったり、亡くなったとき、子の最大の後悔が、「あれ食べろ、これ食べるな、なんて言わないで、好きなものを食べさせればよかった」「食べられるうちに、おいしいものをいっぱい食べさせてあげればよかった」という思いです。
たまの外食は、親の好きなものを存分に食べさせてあげてください。