眠くて仕事にならない、集中力が続かない、イライラする、夕食後は疲れがどっと出てソファに横になってしまう…そんな日々を送っていませんか? 疲れたりイライラすると、つい「甘い物」「栄養ドリンク」「甘いジュース」などを口にする糖質行動をとってしまいがちです。じつは、その糖質行動が疲れを招く最大の原因。なぜ糖質を求めてしまうのか、なぜ疲れを招くのか、AGE牧田クリニック院長・糖尿病専門医の牧田善二先生にお話を伺いました。
すべての画像を見る(全7枚)甘い物のご褒美のあとにやってくる“イライラ”の原因
甘い物を食べると、本当に幸せな気持ちになりますね。それは血中にブドウ糖が出て、血糖値が上がるから。血糖値を急上昇させるのが、栄養ドリンクやスポーツドリンク、甘いコーヒーやフルーツジュースなど糖質たっぷりの飲み物です。
これらは吸収が早いので、すぐにエネルギーとなって血糖値をバーンと急上昇させます。そして、甘い物のご褒美のあとにやってくるのが、疲労感です。なぜ甘い物を食べた幸福感のあとに、疲労感に襲われるのでしょうか?
血糖値は高いままだと血管を傷つけて、血管がボロボロになってしまいます。そのため、血糖値が上がると、すい臓からインスリンが出て、血糖値を下げてくれます。そして、下がったときに、眠気や倦怠感、めまい、動悸、頭痛、思考力や集中力の低下が起こるのです。
インスリンの作用で血糖値が下がりすぎると、今度はアドレナリンが出て、強い空腹感のためにイライラして糖質が無性に欲しくなり、また糖質を口にしてしまいます。昼食後は眠くて仕事にならないのも、夕食後に疲れがどっと出てソファに横になってしまうのも、すべてこの血糖値の乱高下が原因だったのです。
血糖値の乱高下を「血糖値スパイク」といいます。慢性的に疲れやすいのは、この血糖値スパイクのせいだったのです。血糖値スパイクをそのまま放置すると、血管を傷つけて、糖尿病をはじめ動脈硬化やがん、アルツハイマー病などのさまざまな病気を引き寄せ、命を削ることにもなりかねません。それなのになぜ甘い物がやめられないのでしょうか。
「糖質中毒」は意志の力では抑制できない
「私は、健康診断で血糖値が高いといわれたことがありません」という人も、他人事ではありません。甘い物がやめられないという人は、すでに「隠れ糖尿病」&「糖質中毒」かもしれません。健康診断では、「空腹時血糖値」を測定するので、食後の高血糖は見逃されてしまうのです。
この食後高血糖が発覚したのが、イラストレーターの原あいみさんでした。ご主人が食後に、よくソファで寝落ちしてしまうことを心配した原さんは、旦那さんと一緒に血糖値を測る機器を使って食後血糖値を調べることにしました。
すると健康な人は140mg/dlを超えることがない血糖値の数値が、原さんはなんと192mg/dlもあったのです! 食後に食べたデザートのアイスがいけなかったのかもしれません。
糖質を食べると幸せな気持ちになるのは、快楽を司る脳内物質ドーパミンのおかげです。脳はハイな気分に包まれます。この幸福感こそが糖質中毒です。また食べたくなるこの糖質の魔力は、中毒というくらいですから意志の力で抑えることができません。
どうしたらこの糖質中毒から抜け出すことができるのでしょうか。それが私が推奨する「牧田メソッド」です。だれでもすぐに取り組めて、糖尿病専門医として40年にわたって述べ20万人を超える患者さんを診てきた私が自信をもっておすすめするものです。
<牧田メソッド>
・カロリー制限はしなくてもOK
・断酒も無用。白ワインは血糖値を下げるから飲んでOK
・長時間の運動もやらなくてOK
しっかり取り組めば、軽い疲労感なら1~2か月で改善し、かなり高血糖の人でも3か月もあれば正常値に戻ります。
※本記事は、『まんが 疲れの原因は糖が9割 健康診断ではみつからない不調の正体』より一部を抜粋し、再編集しています