ペットの柴犬の写真をX(旧Twitter)に投稿し続け、その自然体のかわいさが人気となっている@inu_10kg。ESSEonlineでは、飼い主で写真家の北田瑞絵さんが、「犬」と家族の日々をつづっていきます。第78回は「抜歯手術を受けた犬の様子」について。

頭を撫でられている犬
2025/01/20
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犬の抜歯手術の記録

今回のinubot回覧板は記憶をたよりに抜歯手術の出来事を記したが、私自身も動揺していたので正確性に欠ける部分、医療内容など書き表せない部分は書いていません。

それでも読んでいておかしく感じる部分があるかもしれませんが、病院は最適で丁寧で寄り添った治療をしてくれたので、私の記憶違いか、書ききれない力不足によるものだと思います。抜歯のレポートではなく私から見た犬の様子を伝えたエッセイなのをふまえて読んでもらえたら幸いです。

1月15日、犬の抜歯手術のため早朝から母と犬と大阪へとクルマを走らせた。2時間ほどかけて動物病院に到着すると、まずは私1人で受付をすませた。

スタッフの方から絶食・絶水の確認があって「今日0時から絶食と6時から絶水しています」と言うと「ばっちりです!」と小さく拍手してくれた。その優しさに緊張の糸がゆるみ、ホッとした。まだ2回目の来院だが、動物にも人間にも本当に優しく対応してくださる方ばかり。

受付を終えたら母が犬を連れてきてくれて、病院のエリザベスカラーをお借りして犬につける。エリザベスカラーとは首から顔を覆う保護具。犬は病院が苦手で、エリザベスカラーをしないと診てもらうのも難しい。

待合室で犬を抱っこしていると身体をぶるぶると震わせる。大丈夫、大丈夫と震える背中をなでる。大丈夫、大丈夫になるために診てもらおう。

そうすると「北田○○ちゃん、診察室でお待ちください」と犬の名前が呼ばれた。手術を受ける前に、まずは手術を受けられるかどうかの術前検査がある。診察台に立つ犬は吠えはしないが気が立っている。漫画の描写なら毛が逆立っているだろう。まずは体重を測ってもらうと11.1kgだった、冬はいつも少し太るやね。

問診を終え、手術内容の確認をしてから同意書に名前と緊急連絡先を書いた。さらに術前検査を受けるために鎮静剤を打つ。1人のスタッフさんが犬のおしりを抱えるように身体を押さえてくれて、私や母は犬の正面から声をかけていた。

おしりから身体を押さえられながらも、犬は振り返って落ち着かない。先生から「前を持てますか?」と言われ、今いる正面からそのまま前足を持ち上げようとすると即座に訂正され「身体の上体を押さえてください」と言われ、急いで横に回って背中から抱きしめるかたちで前足に腕を回した。

後日、母から「あそこで前足持ち上げてなにになるん」と言われた。気が動転していた。

たちまち鎮静剤が効いてきた。検査ののち問題がなかったら手術となる。あとで全身麻酔も打つのだが、当初母は麻酔をとても気にしていた。だけど11月の診察時に麻酔についても時間を割いて分かりやすく説明してくださったので、我々も大丈夫だと信じて臨めた。

「なにかあったら電話しますので、すぐに取れるようにしておいてください」と先生が仰ったので「よろしくお願いします」そして「犬、がんばってね」と伝えて病院をあとにした。