人生100年時代、現役で元気に働く方も多いです。108歳の現在も理容師として働くのは箱石シツイさん。なんと理容師歴94年、世界最高齢の現役理容師に認定されたました。12歳で奉公に出て14歳で上京し理容師の修業、長女は0歳で重度の脳性麻痺に、空襲で自宅焼失、夫は終戦4日後に戦死と、壮絶人生を乗り越えてきた生き方のモットーは「いつも機嫌良く、考えすぎない、悩まない」。箱石さんの元気に生きるヒントを紹介します。
すべての画像を見る(全2枚)目標は109歳までハサミを握りたい
「いつお迎えが来てもいい」なんてお年寄りがよく言いますね。私もけっこうな年寄りですけれど(笑)。たしかにそう思います。本心です。でもね、死ぬこととか寿命についてとか、あまり考えなくていいんじゃないかと思います。
「死ぬ」「生きる」は神さま仏さまがお決めになることで、こちらがいろいろ考えたところで、そのとおりになるものでもないので。ですから、「おまかせ」の心境ですね。
2023年に「世界最高齢の現役理容師」に認定されて、109歳までハサミを握りたいという目標ができましたから、なるべくならお迎えが来ないように、今はそのためにできることをやっています。
いい加減にならず、いつも機嫌よく
自分のことは自分でやる。
日々の暮らしの中で、これがいちばんのモットーです。
人になにかをして差し上げるのは、もう難しいですから、まずは自分自身を整えて、人さまにご迷惑をかけないようにしなくてはなりません。しっかり食べて、歩いて、体操をして、よく眠れるようにしておく。当たり前のことですけれど、ひとつひとつをきちんとやることが大事。丁寧に、いい加減にならないように。
それから、いつも機嫌よくしていたいと思っています。
家族ばかりでなく、私を心配してくださる親戚やご近所の方、ケアマネージャーさんやたくさんの方にお世話になって暮らしています。その方々とも楽しく仲よくしたいですから、まずは私がいつも機嫌よくして、笑顔で「ありがとうございます」「おかげさまで」が言えるようにしていたいのです。
こちらが笑えば、みなさんも笑顔で返してくださいますよ。
そんな淡々とした行いと心持ちで過ごす暮らしの先に、私だけでなく、だれしもおだやかな旅立ちがあったら。そのように、いつも静かな心境で考えています。
箱石シツイさんの新刊『108歳の現役美容師おばあちゃん ごきげん暮らしの知恵袋』(宝島社刊)は発売中。