女優・川上麻衣子さんの暮らしのエッセー。 一般社団法人「ねこと今日」の理事長を務め、愛猫家としても知られる川上さんが、猫のこと、50代の暮らしのこと、食のこと、出生地でありその後も定期的に訪れるスウェーデンのことなどを写真と文章でつづります。今回は、年齢を重ねたからこそまねしたい「スウェーデン流の心地よい考え方」について。

猫とフィーカ
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フィーカ:fikaはスウェーデン語でコーヒーブレイクのこと

日本人にこそ必要、スウェーデン流「フィーカ」とは?

川上麻衣子さん
川上麻衣子さん近影。出生の地であるスウェーデンは定期的に渡航

毎月執筆している、Webエッセー「川上麻衣子の猫とフィーカ」も、気づけばスタートから3年が過ぎ、4年目の春を迎えようとしています。50代後半の還暦に向けた変化の時期に、毎月立ち止まり言葉を紡ぐ習慣をいただけたことは、私にとって非常に貴重な記録となりそうです。

2023年末から始めた「黒髪からグレーヘアー」への転向も現在進行形です。だいぶ白い部分も増えてきましたので、その報告もまた近々にしたいと思っています。

このエッセイのタイトルに入れた「フィーカ」という言葉。最近ではかなり認知度が上がっているようです。スウェーデン語で直訳すると「お茶をする」となりますが、そこには「ちょっと甘いものを口にしながら、ほっとひと息つく」という、スウェーデン人にとって大切な時間であるというニュアンスがたっぷりと含まれています。

言葉のもつ力とは?スウェーデンで暮らした幼少期の体験

9歳頃の川上麻衣子さん
スウェーデンで暮らしていた、9歳頃の川上麻衣子さん

改めて「言葉」を考えてみると、その国ならではの美しさやこだわり、深みを感じます。日本人が「言霊」を重んじる風習は、とても美しい信仰と感じています。

そして言葉に不思議な力が宿っていることは、幼い頃、スウェーデンで暮らしていた時期に、無意識に日本語とスウェーデン語を使い分けていた経験からも実感します。

当時一緒に暮らしていた母に言わせると、日本語を話しているときは穏やかに見えた性格が、スウェーデン語に変わった途端に自己主張が強くなり、態度が一変したそうです。

本人には、まったくその意識はありませんでした。ただ、自分がなにを喋っているのかも聞き取れないスピードでまくし立てている当時の録音テープを聴く限り、母の言うとおりかなり生意気な印象があります。

「しっかりと自立した意見を持つ」ことを幼い頃から大切に育てるスウェーデンの教育が、私の身体に染み込んだ表れかもしれません。