かつては家族の食事は、「自分がつくらなきゃ」と思っていた人も、家族の年齢とともにその役割も変わってくるもの。50代60代の生き方についての著書を多く持つ、トップブロガーの中道あんさんも、「かつてはそうだった。でも今はラクをするように、手放した」と教えてくれました。そんな最近の食事について詳しく語ります。
すべての画像を見る(全2枚)60代からは「料理をがんばらない」をモットーに
以前の私は、「家族に食べさせなきゃ」と義務感を追い立てられるように料理をつくっていました。その「食べさせる」には「してあげている」という気持も入っているので、「おいしいうちに食べてほしい」という押しつけや、「おいしい」という賞賛も求めていました。
でも、大人になった子どもにそんなことを期待するのも違います。そもそも食卓も別々になることも多いです。60代になった今は、「がんばらない」をモットーに、自分が食べたいものをつくるようになりました。家族には、「おすわけの気分」いや、私が喜んで食べているのだから「お福分けの気分」として、食べてもらいます。
家族と一緒でも、自分が食べたいものを優先
ある日の夕飯。久しぶりに家族がそろったのでお鍋を囲むことにしました。でも、私にはどうしても食べたいものがあったのです。それは、その日に農家さんのマルシェで買った葉つき大根。
シャッキとした新鮮な大根の葉を軽く塩ゆでして細かく切って水分をぎゅっと絞る。炊き立てごはんにすりごまと一緒に好みの量を混ぜるとおいしい菜飯のでき上がり。そこに明太子をドーンとのせる。大根の葉香りと明太子の海の風味旨味が一体になりめちゃくちゃおいしい明太菜飯のでき上がり。
それを見た息子が「おいしそうなん食べてるやん」と。「おっ! ようわかっているやん!」と返して「食べてみる?」とたずねました。なんだかうれしくなって丼鉢でこさえてちりめんじゃこもトッピング。ガツガツ食べる様子を見ると、やっぱりうれしい。
その翌日の私のランチは、「明太じゃこ菜飯」でした。「食べさせなきゃ」と思っていたときは、レパートリーも豊富で品数も多かったです。今は、ほんとうにシンプル。食卓が寂しいときは、納豆、温泉卵、厚揚げの焼いたん、明太子、豆腐のどれかあれば、それでいい。がんばらないけどおいしい食卓になります。