現代人を悩ませる「疲労感」。40~50代の男女1000名を対象に行った調査(※)によると、一年の中でも秋口に疲労感を感じやすい人が約74%。ESSE読者の中でも、長引く疲労感に悩む声は多く聞かれました。そんな疲労感に悩む読者に実際話を聞いたところ、「寝ても疲労感が取れない」「何年も前から疲労感が続いている」と深刻な様子…。このしつこい疲労感をすっきりさせて、毎日を元気に過ごすコツはないのでしょうか。疲労専門医の中富康仁さんに、対策を伺いました。
※ サントリーウエルネスPR事務局調べ(2024年)
読者3人が抱える「疲労感」の正体って?
サントリーウエルネスPR事務局の調査によると、疲労感を感じる日常シーンのトップ3は「朝の目覚めがよくないとき」(38.5%)、「仕事や家事がはかどらず、時間だけがすぎていく感じるとき」(33.5%)、「なかなか寝つけない、睡眠が浅くなってしまっているとき」(32.1%)と、上位3位中の二つが睡眠に関することでした。今回座談会に集まってくれた40代前半のESSEプラチナインフルエンサーの3人も、この調査結果に深く共感。悩みを掘り下げてもらいました。
●短時間睡眠や浅い睡眠が続き、疲労感がどんどんたまる
まず、みなさんが疲労感を感じるのはどんなときか、聞いてみました。
「朝、カラダが重いな~と感じるとき。忙しくてもそうでなくても、家のことや育児の用事がたまっていて、布団に入る時間が遅くなってしまう。そして翌朝は目覚めたときから疲労感を感じている…。そんな日が多くて、常にカラダがだるいし、眠いです」(増野あゆみさん・41歳)
「帰宅後、ソファに座ったら秒で寝落ちするほどクタクタに疲労感があるのに、夜ベッドに入ると寝つけないことがある。逆にたっぷり睡眠を取ったはずなのに、なぜか疲労感を抱えたまま朝を迎えることも」(矢口里奈さん・42歳)
「翌日のパフォーマンスを考えて9時半頃には寝るようにしていますが、仕事の懸念があると夜中に目が覚めて、考え込んでしまう。そして、朝5時に目覚める頃には、浅い眠りのせいで疲労感が取れていない」(今西千登瀬さん・45歳)
このように、うまく睡眠が取れず、疲労感が持ち越されて蓄積しているようです。長い人では、20年近くも疲労感があるそう。
睡眠の質を高めるため試行錯誤しながら対策をしているというのは、今西さん。「リラックスすれば深い睡眠を取れるだろうと、寝る前にヨガをしたり、アロマを炊いたり。考え事をすると眠れなくなるからと、お酒を飲んで気持ちを発散させたり…。それでも、寝つきや目覚めの悪さは改善できず、長年たまった疲労感はなかなか取れません」と、重~いため息。
私たちが毎日を元気にするコツはあるのでしょうか。
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疲労専門医に聞く、日々の疲労感をやわらげる習慣
長年蓄積した疲労感。果たしてこれは、どうしたら軽減できるのでしょうか。「疲れと眠りのクリニック淀屋橋」院長・中富康仁先生に教えてもらいます。
●「疲労感」はカラダの大切なセンサー。放っておかないで
そもそも、疲労感を感じているとき、体の中はどのような状態になっているのでしょうか。
「ダメージと回復力のバランスが崩れたときに、人は疲労感を感じやすくなります。ダメージとは、これから説明する“酸化ストレス”で、回復力は“抗酸化力”です。
人間の体は日々、新しい細胞やタンパクが入れ替わっています。とくに、酸素を吸入してエネルギーをつくりだす際に、“燃えカス”のように酸化ストレスが生じ、働きの落ちた細胞やタンパクを壊して新しいものと取り換えています。その過程でできるのが、酸化ストレスといわれるものです。
この酸化ストレスが広がっていくのを抑える役が抗酸化力です。激しい運動や精神的なストレス、頭を使った作業などでたくさんのエネルギーが必要になったとき、または忙しいのに無理して活動しているとき、酸化ストレスがどんどん増えていき、抗酸化力では抑えられなくなる。そして体中の細胞を酸化してしまい、細胞の働きが一時的に弱まってしまう。そのときに感じるのが、疲労感というセンサーです」(中富先生、以下同)
また、自律神経のバランスが崩れたときにも、疲労感を感じやすくなるといいます。
「自律神経には、緊張したときに優位に働く交感神経と、リラックスしたとき優位になる副交感神経がありますが、ずっと活動し続けていると交感神経ばかりが優位になり、バランスが崩れてしまいます。その結果、パフォーマンスが下がり、疲労感を感じるのです」
よく眠れなかった日の翌朝など、私たちが疲労感を感じるタイミングはさまざま。このセンサーを見過ごさないようにしてほしいと、中富先生は強調します。
「40代女性の多くは、仕事、家事、子育て、地域の当番などなどさまざまな役割があるはずです。自分のことだけに集中できない人も多いのではないでしょうか?
自分のペースを維持できているうちは、まだこのバランスが保てているわけですが、“やらないといけないこと”なので、ついつい無理をしてまでがんばってしまいます。そうすると、疲労感が麻痺してしまう。そしてその後、ふとしたときに大きな疲労感が襲いかかる。それが本当の疲労感です。たとえば仕事の過渡期を越えた直後に来る体調不良が、その例です。本来ならば、ここでしっかり休んで回復することがとても大切なのです」
●疲労感をずっと無視し続けると、老化の引き金にも
ここで十分な睡眠を取れず、疲労感のサインを放置して、無理をしてしまうとどうなるのでしょうか?
「疲労感を放っておくと、酸化ストレスが増えていきます。前述のように、抗酸化は壊れた細胞を入れ替える大事な仕組み。抗酸化がたりなくなると、タンパクなど体にとって大事な成分が壊れやすいままになります」
●しっかり休息するため、眠れるための環境づくりを
疲れを取るには睡眠。でも、体が疲労感を感じているのに布団に入ったら眠れない――。そういう悩みを持つ人もいます。
「そういうときは、部屋の照明を段階的に暗くしていくことをおすすめします。たとえば、夕方以降は白っぽい灯りより、オレンジ系の温かみのある照明を選び、徐々に暗くしていくと視覚から脳へとお休みのサインが伝達され、睡眠に誘導されやすくなります。カフェインも、夕方以降は抑えた方がいいでしょう」
●抗酸化力の高い食材を中心にバランスよい食生活も効果的
また、生活の改善はもちろん、食生活の見直しも重要になります。中富先生は「たとえば食事の際は、カラダのサビを取る成分が豊富な食材を選ぶのもおすすめです」と話します。
「疲労感の原因になる体のサビ。これを取ってくれる抗酸化成分のある食事は意外と身近にあります。鮭やエビ、カニなど赤い身の部分に多く含まれているアスタキサンチンを始め、玄米に多いビタミン、トマトや人参に含まれているβ⁻カロテン、ブルーベリーにあるポリフェノールなどです。
これらを含む食材は、ぜひ普段から摂取し、体内に貯蓄しておきたい。でも一番いいのは、バランスよくいろんな食材を摂ること。そうはいっても難しい、もっと手軽に摂りたいというかたは、サプリメントで摂取するのも手ですよ」
しつこい疲労感に悩んでいたら、ぜひ食習慣からもアプローチしてはいかがでしょうか?
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