高齢の親と別居していたり、遠方に住んでいる場合、親の日常生活が心配になることもあるでしょう。とくに、親がひとり暮らしの場合は、心配はさらに増すはずです。『おひとりさま[老後生活]安心便利帳 2025年版』(扶桑社刊)を監修した服部万里子先生(NPO法人渋谷介護サポートセンター理事長)は、「なにを外部に頼み、なにを自分でやるか決めることが大切」と話します。そこで、高齢の親が利用できるサービスを紹介してもらいました。

遠く暮らす親をサポートしてくれるサービス
遠く暮らす親をサポートしてくれるサービス
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※この記事は、扶桑社ムック『おひとりさま[老後生活]安心便利帳』より一部を抜粋し、再編集しています

1:散歩にもつき合ってもらえる「軽度生活援助事業」

散歩

高齢になるとだれしも体力が衰え、今までできていたことができなくなることもあり得ます。みなさんのご両親もそのような状況でしたら、親の様子や周囲の環境などを考え合わせて、親の日常生活の支援を外部のサービスに頼るという選択肢を考えていいかもしれません。

家事の負担を軽減する方法としては、「家事代行サービス」が真っ先に思い浮かぶのではないでしょうか。基本的な家事はもちろん、ペットの散歩や料理のつくりおきなどにも対応してくれます。しかし、家事代行サービスは民間企業がほとんどのため費用が高く、だれもが気軽に頼めるサービスではありません。

そこで、高齢者のおひとりさまにとって強い味方になるのが、「軽度生活援助事業」と「在宅配食サービス」です。

「『軽度生活援助事業』は自治体が提供するサービスで、炊事や掃除、買い物はもちろん、手紙の代筆や投函、簡単な家の修理、庭木の手入れ、散歩のつき合いなど、日常生活の多くのことを頼めます。

『軽度生活援助事業』で派遣されてくるのはボランティアやシルバー人材センターのスタッフなので、料金も1時間あたり150~400円くらいと格安となっています。ただし、週に1回、1回1~2時間程度までなど、派遣回数や時間に制限があります。また、事前に申請が必要な場合も多いので、事前に確認が必要です」(以下、すべて服部先生)

2:「在宅配食サービス」はおかずだけでもOK!

宅食

「在宅配食サービス」は、お弁当など毎日の食事を自宅に届けてくれるサービスです。ご飯は自分で炊くという人には、お総菜やおかずだけを届けるサービスも。民間企業であれば試食もできるので安心です。

「『在宅配食サービス』は自治体も行っていて、自治体の場合は1食あたり約100円~600円くらいが相場となっています。また、自宅に食事を届けてくれることで、健康状態や安否の確認もできます。ご両親がお住まいの自治体が実施しているかどうか確認してみてください」

また、どのようなサービスを利用するかどうかを決めるときには、「好きなことは自分で行い、苦手なものはだれかに頼む」という基準で決めるのもいいと服部先生はアドバイスします。まずは日常のささいな手助けを頼んでみるのもいいでしょう。