若い頃は自分も傲慢だった

私自身も、振り返れば、非常に傲慢だった時期があります。

とくに若い頃は、「親に育ててもらったのに生意気だ」とか「親に感謝しろ」というようなことを言われるたびに反発して、「自分はだれの世話にもならずに生きている。だれにも文句は言わせない」という調子でした。

だれかに世話をかけっぱなしで、なにひとつ自分ひとりで成し遂げたことなどないにもかかわらず、そう思い上がっていたのです。

それが、あっちで失敗して助けられ、こっちで失敗して助けられ、といったことを繰り返すうちに、ひとりで生きていくことはできないのだ、と気づきました。

大事なのは、自分ひとりではなにもできないことを知ること。そして素直に助けを求めること。助けてもらったら「ありがとう」と言ってほほ笑むこと。社会には人を助けたいと思っている人がたくさんいます。

そんな人は、助けられることも喜びですが、助けることも喜びだと知っています。しかし残念なことに、日常においてなかなかそのチャンスが巡ってこないのです。

周りに力を借りて甘えることは悪いことではない

仕事や家事、育児において、だれにも頼れず、ひとりで背負いすぎていることはないでしょうか?

周りに力を借りて甘えることは、けっして悪いことではありません。意固地にならず、がんばりすぎず、必要なときには人を頼りましょう。その代わり、だれかがあなたを頼ってきたら、全力で助けてあげてください。

「お互いさま」の精神で、完璧でない人間同士が補い合い、調和し、助け合って生きることで、人とのつながりに感謝でき、自分も謙虚になれるのです。お互いにできることを交換し合うことで、周りとの絆が深まり、人間関係もどんどんステージアップすることでしょう。ひとりでなんでもできたとしても、孤立していたら幸せではありません。

今後は、IT化、ロボット化が進むでしょうから、人々はもっと他人を必要としなくなり、孤立を深めていくことでしょう。だからこそ「相互依存」の関係が、じつは人間にとって、ずっと豊かで幸せなあり方であることを忘れないでほしいのです。

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