暮らしを楽しむには、自分だけでがんばることをやめることが大切でした。50歳で都心から引っ越し、田舎暮らしをスタートをした山野悦子さん。引っ越し前は家族との関係など、我慢も多かったそう。「今は自分の好きなことや仕事を楽しむ余裕ができました」と語る山野さんに、50代になって「やめたこと」「始めたこと」を聞きました。

山野悦子さん
山野さんが自分の気持ちに正直になろうと思えたきっかけとは?
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「自分さえがんばれば」をやめて、距離をおくことに

円グラフ

40代半ばから終わりにかけて、実家のことで頭がいっぱいだったという山野さん。父親の病院通いから死を経て、1人になった母親の面倒のために、自宅と実家を行き来する生活だったそう。

「弟は仕事が忙しいし、妹は遠くに住んでいたので、長女で専業主婦の私がやらなくちゃと、気負っていたのです」

コロナ禍で妹が実家に帰ったことで、状況は一変。「私の至らない点を指摘され、きょうだいでもめたことも。私ががんばらなくちゃと1人で抱え込んだことが裏目に出てしまいました」。

悩んだ末、実家のことはいったん妹と弟にまかせ、距離をおくことに。自然豊かな環境で暮らしたいと考えていたこともあり、郊外の一軒家に引っ越しました。

「パートを始めたり、将来を見据えて習い事を本格化したり、暮らしを楽しんでいます。心にゆとりができたからか、母やきょうだいとの仲も改善したんです」

50代でやめた3つのこと

ここからは山野さんが50代でやめたことを3つご紹介します。

●都心での生活をやめて自然豊かな郊外へ移住

玄関から出てくる山野さん

自然のなかでの生活は心に安定を与えてくれます。住み慣れた都心での暮らしをやめ、郊外の山間部へ移住。「夫の定年後は、薪ストーブや仕事を楽しみたいという憧れが夫婦ともにあったんです。子どもたちのことも考えたら、今のうちがいいと思いきって引っ越しました。都会の便利さはなくなったけれど、ゆったりとした時間と澄んだ空気のなか、家族で心穏やかに暮らしています」

薪ストーブ

週末には薪の調達へ。薪ストーブは、炎を眺めるだけで癒やされる存在。

薪を組む山野さん

「原木を安く調達し、庭で薪割りするのも夫婦の楽しみです」

●専業主婦をやめたら夫婦の話題が増えた!

会話をする山野さん夫婦

週3のパート勤務で自己肯定感がアップしました。結婚以来の専業主婦をやめ、週3回のパート勤務をスタート。「経験のない私でも務まるのか不安でしたが、始めてみたら楽しく、新人表彰も受けて、自信がつきました」。

自由に使えるお金が増えることも、やりたいことに一歩踏み出すきっかけに。仕事のことや日々の暮らしの楽しみ、これからの夢など、夫婦の話題もつきません。

車を運転する山野さん

体を動かすことで減量にも成功! パートを始めてから、自然と体を動かすようになり、無理なく4kgの減量に成功。

●憧れるだけをやめてレンタルカフェに挑戦

山野さんが営むカフェ

好きなことを通じて交流の輪が広がりました。実家のことで忙しい間も、カフェをやりたいという夢をもち続けた山野さん。

「2年前、ちゃんちき堂のテツさんという方が運営する、日替わりカフェのスペースを借りて、友人とレンタルカフェを開催。約1年続けたあと、いったんお休みし、今年から友人のお店を借りて再スタート。長年の夢を実現でき、交流の輪も広がりました」

山野さんのカフェのメニュー

友人と分担してカフェで提供したメニュー。友人がガレットやスイーツを担当。

カフェメニュー

「私がフランス料理をアレンジしたメインと前菜を担当しました」

カフェの様子

月2回の開催でリピーターがつくほどに。料理好きの友人と開いた月2回のレンタルカフェには、毎回楽しみに来てくれるリピーターもいたそう。