「私は時代追いつけていない」と自覚し…

そもそも、紙に書かないと覚えない。印刷しないと熟読できない…。

その時点で時代に追いついていないのでしょう。

いまだにLINEを送るとすぐに電話をかけてくる友人がいるのも、昭和世代ならではかもしれません。

携帯電話
歴代の携帯たち
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私自身は気づけば、急用以外では電話で会話することはほぼなくなりました。ただ、先日古い歴代の携帯電話が出てきて、懐かしさに手に取るとなんとも不思議なもので、耳に当ててだれかと話したくなりました。

私なりに考察してみたところ、携帯電話がスマホに代わり、平らなフォルムになったことで、耳で声を聴き話すための道具ではなくなったのでは、ということです。

そして若い人たちの電話が苦手という理由については、昭和世代と違って、物心ついた頃から「電話は個人的」なものだったということにあると最近聞きました。

昭和世代にとって電話は一家に一台あればぜいたく。基本、電話は大人が使うものという認識でしたから、早く大人になって自由に電話を使えることが憧れでした。

親の顔色を気にせずに思う存分、友達と長電話を楽しむことは、最高の時間でした。

そう考えると、知らない人からかかってくることが当然だった私たち世代と違い、小さい頃から個人的な仲間との通信手段として活用してきた若者にとっては、見知らぬ人との電話での会話は確かに苦痛なものだと察します。

スマホでイライラする毎日から脱却したい

猫を撮影する川上麻衣子さん
カメラ代わりにも使えるスマホは本当に便利だけど…

営業の電話や、音声案内の果てにようやくたどり着く対人でのお問合せ電話が、どれもマニュアル化された、まったく人間味を感じない対応ばかりになったことも仕方ないのでしょう。

そんなこんなにイライラすること自体が自律神経を乱す原因になりそうです。加えて、スマホを手にしている時間が日々の生活のなかでかなり多いことも、少なからず影響はあるでしょう。

携帯しているのは電話ではなく膨大な情報が詰まったコンピュータです。脳みそが破壊されてしまいそう…。そんなふうに思うのは私だけでしょうか。

通勤電車の車内ではほとんどの人が、スマホを眺めています。しかもかなりの割合で、ゲームに夢中の大人を発見します。

個人的な意見ですが、幼い頃、いい大人が車内で漫画雑誌を読んでいる姿に少し幻滅した感情と似たものを、現代の車内で感じています。いやいや、それ以上の違和感が電車内に蔓延しています。

人の振り見て我が振り直せ。ゲーム自体は私もいくつかはまった経験があるだけに、「依存」の怖さを実感するのです。

●スマホとの依存関係はなにかに似ている

時代の変化に伴いタバコをやめて25年ほどが経ちますが、自分のスマホとのつき合い方が、以前吸っていたタバコとの関係にそっくりだと最近自覚をしました。

掃除をし終えたら一服。
食事を終えたら一服。
寝る前に一服…。

手にしていたものがタバコからスマホに代わっただけではありませんか…。今一度、スマホとの関係を見直し、上手なつき合い方を探るときが来たようです。禁煙ができたのだから、この依存からも抜け出す手段はあるはず。

少しずつ挑戦している「デジタルデトックス」

ポスターの前に立つ川上麻衣子さん
スマホの電源を切って映画鑑賞する時間なども大切

まずはムダなアプリやゲームは削除。手にしている物体(スマホ)は仕事道具と認識し、プライベートの時間には極力手にしないこと。

そうは言っても、身内に緊急事態が起きたときのことを考えると電話は必要です。ならば用途が電話としてのみ機能する手軽に買えるいわゆる携帯電話を購入しようか、とも考えています。

そして、カバンには必ず1冊の文庫本を。気分が上がりそうなブックカバーでも探しに出かけようと思う夏です。

川上麻衣子さんの連載コラム「猫とフィーカ」を読む