漢方において、日々の習慣で健康な体を目指す「養生」は、心と体を整える近道。そんな養生の考え方で心身の不調を改善するヒントを教えてくれるのは、漢方家の櫻井大典さん。ここでは、「自己肯定感が低く、つい他人と比べては落ち込みます」という悩みに対し、アドバイスしてもらいました。
すべての画像を見る(全3枚)そもそも、心を強くしなくて、大丈夫
まず、心を強くする必要はありませんよ、今のままで大丈夫。変わろう、変わらなければ、と思いすぎることは、しんどいものです。なぜなら、変わろうとする思いこそが、今の自分の否定にほかならないですから。
それに、あなたの心は強いわけでも、弱いわけでもありません。心の反応というのは、その人が今までの人生を生き抜くために培ってきた、いわばサバイバル術のようなもの。これまで育ってきた環境のなかで自分を守るため身につけてきた術が、今の状態なわけです。それはきっと、あなたがこのまま生きていくうえでも役立つものでもあるので、捨てなくて大丈夫です。
自分の気持ちを素直に感じることから始めてみる
自分の気持ちよりも、だれかに言われたことの方を、無意識のうちに優先させてしまっている場合、自分が本当はどう思ってどう感じているのか、まずは自分の気持ちを感じる、知る、というところからスタートした方がよいかもしれません。
自分を好きになれないと思ったとき、自分はダメだと思ったときに、自分の感情を丁寧に感じてあげることです。つらいのか、悲しいのか、悔しいのか。いつもならすぐに自分を責める方向へ気を向かせていたのを、自分自身の深いところへ矛先を向けるイメージです。
悔しかったのかもしれないし、怒りたかったのかもしれない、ただただ悲しかったのかもしれない。悔しいと感じても間違いじゃないし、怒りと感じても問題ない。自分の気持ちを素直に感じる、その湧き上がってくる気持ちを認めてあげる訓練はよいと思います。