にじり口に隠れ家バー⁉珍しい石との組み合わせも
すべての画像を見る(全18枚)1階には天井の高さを生かした、ギャラリー兼打ち合わせスペースがあります。取材当時はイベント(ポール・ケアホルムとオリエンタルラグ展)が開催中。家具やラグを展示していますが、通常は打ち合わせ用のテーブルを置いているそう。
板坂:和菓子店の店舗だった1階はギャラリー兼打ち合わせスペースに。
田中:このソファ、体にしっくりなじむし、家の雰囲気とも合っていて落ち着きます。テーブルの上にはボクの好きなシダもあって、これも相性抜群!
板坂:古民家と北欧の家具とオリエンタルラグ、それにシダという組み合わせはおもしろいですよね。隣は社員が使う給湯室なのですが、カウンターを設けてバーのようなスタイルに。にじり口があって路地から出入りできるので、田中さんがこっそりバーを使いたいときは、外からノックしてくれたらあけますよ(笑)。
田中:めっちゃおもしろいですね。カウンターの素材もユニークだし、土壁も近くで見ると場所によって微妙に表情が違っていて、カッコいいと思いました。
板坂:カウンターには琉球石灰岩、踏み石やトイレの洗面器は伊達冠石を使用しています。どちらも貴重な国産の石で、独特の味わいがあります。設計事務所なので、素材を実際に見てもらえるように設えました。土壁は、塗る厚みによって表情を変えています。厚く塗ると乾燥の収縮がぐっと進み、表面が割れるのです。
田中:なるほど、厚塗りすると割れるのか。このひび割れ、カッコいいな~。
板坂:古民家にいきなり新しいものを持ってきてもなじまないので、日本に古くからある素材を工夫して使用しました。今後も年に2~3回は企画展などのイベントを考えており、さまざまな組み合わせを模索していけたらと思っています。
もとからあった勝手口を利用し、外壁はいじらずに内側に壁をつくってにじり口を設置。「周辺には路地の文化が残っているので、路地の雰囲気を取り入れてみました」と板坂さん。上部の窓も、内側に取り付けて既存のアルミサッシを隠しています。
廊下の右手奥にバーがあり、左側にはトイレが配されています。
廊下の手前に置かれているのは、伊達冠石(だてかんむりいし)の踏み石。建具と同じく、柱も大正時代の古民家の床柱を再利用しています。
トイレの手洗い器は、伊達冠石で製作したもの。「宮城県産の伊達冠石は、彫刻家のイサム・ノグチが作品によく使用したことでも知られています」と板坂さん。壁には3×1mのタイルを採用。目地がないので掃除が簡単で、おすすめだそう。「イタリアのものですが、日本的な雰囲気なので採用しました」。
井筒屋の店章をモチーフにしたギャラリーのサインボード。QRコードを読み込むとインスタグラム(@izutsuyagallery)にアクセスし、DMでイベントの予約ができます。イベントは予約制。
●取材協力:the design gallery 東京都中央区新富2-4-8
リライフプラスvol.50 (別冊住まい)
今回の田中さんの記事も掲載されています。中古マンションや一戸建てをリノベーションして、自分らしい暮らしを実現するための情報や事例が満載です