画廊と美術館での学芸員経験をもち、美術エッセイストとして活躍中の小笠原洋子さんは、高齢者向けの3DK団地でひとり暮らし。年金暮らしで倹約家の小笠原さんはお金を使わずに、暮らしを楽しんでおり、著作もあります。そんな小笠原さんの趣味の工夫から、お金への考え方を紹介します。
すべての画像を見る(全6枚)お金をかけなくてもコレクションは楽しめます
私の住まいは、郊外にある団地の、低所得者向け賃貸住居で、3DKの間取りです。ひとり暮らしに3部屋では広すぎるということもあり、そのうちのひと部屋を『ワタシ・ギャラリー』としました。そこには、私の大好きな“展示品"が満載です。かつて働いていた画廊で、私はショーケースや坪庭に作品をディスプレイするのが好きだったからです。頻繁に、展示品の配置や飾り方を調整しながら、楽しんでいます。
そんな私は、たとえば旅先で、記念にと置き物などを買うことはありません。『ワタシ・ギャラリー』の展示品も、コレクションするために買ったものではなく、すでに持っていたアイテムばかり。いたって安上がりなコレクションです。
コレクションすることには、探しあてたときの喜びや、買うときのうれしさがつきものですよね。でも、節約家であり、年金暮らしの私は、なるべく買う以外の喜びを探らなくてはなりません。
片づけなどで発掘された身近なものを展示してみる
そんなわけで、わざわざ買い集めなくても、案外周辺から出てくるものです。それは、自分が昔から持っているアクセサリーや香水瓶などでも作品のように展示できます。また、たとえば使わない食器や、押し入れで眠っているマスコットなどありませんか? そういうものを展示してみるのもおもしろいのです。
私は、家の中を片づけながら、しまい込んで忘れていたきれいな物を見出すのが好きです。たとえばテーブルクロスになりそうなストールや、小窓に掛けられそうな風呂敷。またカーテンレールを利用して、カーテンの上のほうに、使わなくなった長い首飾りや鎖ベルトなどをあしらってみたり、重くて使いにくい扇子を壁に掛けたりして楽しんでいます。ただしその部屋は、家具や調度品が多くて、雑然としたお部屋より、シンプルで片づいている部屋のほうが、展示物が活かされます。