家好き芸人・アンガールズ田中さんが、ユニークにリノベーションされた建物を訪ねました。向かった先は、東京の下町にある、明治時代から地元の人たちに親しまれてきた、銭湯だった木造の建物。今はカフェ&オフィスとして再利用されています。番台に座ったのは初めての体験という田中さん。改修を手掛けた「ヤマムラ」建物再生室長の中村さんの説明に興味津々の様子。

銭湯の内部
約7.5mと銭湯ならではの高い天井をそのまま生かした大空間や富士山のペンキ絵に、思わずテンションが上がる田中さん
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慣れ親しんだ銭湯の建物を残していきたい

銭湯の外観

田中:屋根が力強くてカッコいいですよね。シンメトリーなのも美しい。

中村:下町にはこういう立派な構えの銭湯がたくさんありました。奥に見えているのが天井の高い浴室側の屋根。手前側は脱衣室なので、外から見えないように、以前は塀が高くなっていましたが、今はカフェになったので塀を低くしました。

田中:緑が多いし、中がちょっと見えた方が、お客さんも入りやすいですよね。

中村:快哉湯(かいさいゆ)は明治時代(建物は昭和初期に再建)から2016年に廃業するまで、近隣の方たちに親しまれた銭湯です。私は山形生まれですが、父は実家が入谷で快哉湯の常連でした。私も学生時代に住んでいて、快哉湯に来ていました。大学では建物再生を学び、今は古い建物を活用するNPOにも所属しているのですが、たまたまそこに快哉湯のオーナーから「銭湯としては続けていけなくなったが、建物を残していくアイデアはないか?」と相談があったのです。

田中:「俺がやるしかない!」って話ですよね(笑)。すばらしい巡り合わせ。

 

外観

昔ながらの銭湯の風情が漂う外観。田中さんが絶賛した立派な屋根には、前日東京に降った雪がうっすら積もり、情緒たっぷり。

「見事な外観だし、入母屋が3つあるのは珍しいと思います。ほぼ手を加えずに残せて、とても気に入っています」と中村さん。

 

銭湯のゲタ箱

玄関を入ると、両側の壁面には昔ながらの木札のゲタ箱がそのまま残されており、脱衣所への扉も当時のまま。懐かしい雰囲気に包まれます。右の扉(写真)には「女」、左の扉には「男」の文字が。

 

クセのある傘入れ

玄関の正面に置かれていたロッカーは、入れ方にクセがある傘入れ。これも当時のままで、内部には水を受ける筒状の容器が設置されており、傘を横にして差し込めるようになっています。