最近、健康・美容の観点からタンパク質が注目を集めており、プロテインを日々の食生活に取り入れている方も増えているようです。しかし、タンパク質をとろうと肉や卵、乳製品などを食べすぎてしまうと、カロリーや脂質などが気になるもの。そこで近年脚光を浴びているのが「植物性タンパク質」です。豆腐・豆乳マイスターで管理栄養士の藤橋ひとみさんに、植物性タンパク質の特長と手軽なとり方を教えてもらいました。
そもそも、タンパク質はたくさんとった方がいい?
すべての画像を見る(全5枚)「まず知っておいていただきたいのは、タンパク質は多くとればいいというわけではありません。あまりにも多くとりすぎてしまうと、腎機能を低下させる恐れがあるなど、健康に悪影響を及ぼす可能性があります」(藤橋さん、以下同)。
加えて、タンパク質の摂取量を増やすために肉や乳製品など動物性の食品をたくさん食べると、生活習慣病のリスクを高める飽和脂肪酸の過剰摂取につながる恐れがあるのだそう。
「飽和脂肪酸は、肉の脂身やバターなどをイメージするとわかりやすいですが、常温で固体の脂質のこと。とりすぎてしまうと血液をドロドロにして動脈硬化の原因になるなど、さまざまな生活習慣病につながると言われています」
一方、植物性タンパク質を豊富に含む食品は、飽和脂肪酸が含まれているものが少なく、病気につながるリスクが低いと考えられています。
●大豆には女性が積極的にとりたい栄養素が豊富
植物性タンパク質は植物性食品に幅広く含まれていますが、その中でも「大豆」の含有量はダントツ。さらに大豆には、日本人女性が不足に気をつけたいカルシウム、鉄、葉酸、食物繊維、カリウムなど多くの栄養素が含まれています。とくに葉酸は、細胞の生産や再生を助ける栄養素で、妊活中や妊娠中には非常に大切なもの。ナトリウムを排出する作用のあるカリウムは、塩分のとり過ぎや高血圧が気になる方は積極的にとりたい栄養素です。
「そのほかにも、大豆には女性ホルモンのひとつである『エストロゲン』と似た化学構造をもち、機能性成分として注目されている『大豆イソフラボン』も含まれています。大豆イソフラボンは、ホルモンバランスの乱れによる不調の改善に役立つ可能性があることがわかっています。加えて、コレステロールを低下させる機能性が発見されている大豆レシチン、善玉菌のエサになるオリゴ糖が含まれているのもうれしいポイントです」
このように聞くと、大豆さえ食べていれば健康になれるのではと思われるかもしれません。ですが、完全栄養食はないのが現実。
「天然の食品に『これだけ食べていれば大丈夫!』というものはありません。大豆ばかり食べていると、ビタミンCをはじめ、不足してしまう栄養素が出てくる恐れがあります。基本は『バランスよく、さまざまな食品を食べること』です」
●習慣化して取り入れ続けることが大切
また、血圧やコレステロール値が気になるからと急に植物性タンパク質の摂取を増やしても、即効性はないそう。
「なるべく植物性タンパク質を意識して食べる習慣をつけ、将来の病気のリスクを下げたいものです。最近では、手軽に大豆を摂取できる食品が増えているので、食べやすそうなものを取り入れていくのがいいと思います」