1年半ほど前に、東京から八ヶ岳の森に移り住んだ現在50歳の作家・小川糸さん。新しい暮らしに合わせて、家事のやり方も少しずつ変えてきたそうです。時間と気持ちにゆとりが生まれる調理の仕方や道具の使い方について教えてもらいました。

いままでの家事ルールに縛られず、ゆるやかに考えるように

2022年の7月に東京から八ヶ岳山麓に移り住んだ小川糸さん。
東京のマンション暮らしでは実現できなかった庭のある暮らしを初めて手に入れ、ハーブや花を楽しみながら育てています。庭仕事の時間を確保するため、また暮らしに余白を持たせるために、家事のやり方をどんなふうに変えたのかを聞いてみました。

 

●料理はまとめて仕込んだり、ときにはレトルトに頼ったり

庭の水まき
庭の水まきは 1日2回が基本。「前日のお天気や土の状態を見て調整しています。喉が渇いていそうだなと思ったら、朝起きてすぐに水をまくことも」
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山暮らしを始めた小川さんにとっての大きな楽しみ、それはこの地に来て初めて挑戦している庭仕事。さまざまな苗を買ってきては試行錯誤しながら育てています。

「水まきや草取り、苗の植えつけなど、することがたくさんあって。想像以上に忙しく、一日があっという間に過ぎていきます」(小川さん・以下同)

東京で暮らしていた頃から、家事はなるべくシンプルにすませてきた小川さん。庭仕事に時間をとられるようになったことで、それがさらに進化したといいます。

小川さんのキッチン
簡素で使いやすいキッチンで、鍋いっぱいのスープを仕込み中。「地元の野菜がおいしくて、自然と野菜中心の食事になりました」

 

「いちばん大きく変わったのは、料理かもしれません。洗濯や掃除の時間は大幅には短縮できないけれど、料理は工夫すれば時間をかけずにすむので。調理法もよりシンプルになったし、その都度つくるのではなく、スープや煮もの、ポテトサラダなどをまとめて仕込むようになりました」

たくさんつくった料理を冷凍しておいて少しずつ食べたり、疲れているときにはお気に入りのレトルト食品や乾麺に頼ったり。いまの暮らしに合わせて、無理のない方法を実践しています。

「毎回しっかりつくって食べなくては、という意識も変わってきました。具だくさんのスープとパンがあればそれで十分だし、ときにはつくりおきだけですませることも。いままでのルールに縛られず、ゆるやかに考えるようになった気がします」