●走る前の軽い筋トレでもっと脂肪が燃える
体脂肪の燃焼を最優先に考えるならば、ランニングを始める前に少し筋トレをすると、効率がよくなるのだそうです。
すべての画像を見る(全3枚)筋トレをすると成長ホルモンの分泌が促されます。成長ホルモンは筋肉の肥大にも関わっていますが、脂肪細胞の分解を促進するとも考えられているのです。
また筋トレを行うと成長ホルモンと同時にノルアドレナリンという物質の分泌も促されるといわれています。ノルアドレナリンには、脂肪分解の役割を担うリパーゼという酵素を活性化させる働きがあるので、効率的に脂肪燃焼を目指せるというわけです。
ダイエット目的でランニングをしようと思っている方は、走り出す前に筋トレをしてみてください。
●心地よいペースのランニングは脳に効く
ランニングがどうして脳に効くのでしょうか。それにはBDNF(脳由来神経栄養因子)という物質が関係しています。BDNFとは脳がつくり出すタンパク質で、神経細胞の発生、成長、再生に関与すると言われています。
脳の活動をサポートするBDNFは加齢とともに減少する傾向がある一方で、ランニングや筋トレを継続していると分泌が促進されることがわかっています。かつては脳の神経細胞は一度死ぬと復活しないと考えられていましたが、現在ではBDNFなどの働きで新生することが解明されているのです。
BDNFの分泌を促すための運動は高強度である必要もなければ、驚くほど長時間動き続ける必要もありません。週に3回程度で、1週間に150分程度ウォーキングやランニングをすると、BDNFによるプラスの効果が得られるのだそうです。逆に強度が高すぎると(心拍数が上がりすぎると)、筋肉に血流が奪われるため、BDNF分泌の効率は低下します。頑張りすぎず、心地よいペースで楽しく走ることが脳にはいいということです。
●無理をしないでしっかり休むことが大切
「30代、40代になると多くの人が、体力が衰えてきた、疲れやすくなった、と口をそろえますが、トレーナーの視点で見ると、最も衰えるのは疲労を回復する速度、いわゆるリカバリー力です」と中野トレーナーは言います。
リカバリーが十分でないままランニングを続けると疲労が蓄積し、思わぬケガやオーバートレーニング症候群(スポーツなどによって生じた生理的な疲労が十分に回復しないまま積み重なって引き起こされる慢性疲労状態)の原因になり、ランニングをやめなくてはいけなくなってしまいます。
疲労を感じたり、筋肉や関節に違和感を感じたらしっかり休むこと、そしてストイックになりすぎずにランニングを楽しむことが大切です。
『ミドルエイジからの“がんばりすぎない”ランニング』(扶桑社刊)では、ランニングの効果・効能、がんばりすぎないランニングの始め方、継続するためのマインドの持ち方、ケガを予防するためのストレッチなどを紹介しています。