浴室は掃除していても、なかなかきれいな状態を維持できない場所。かといって、間違った洗剤の使い方をすると、素材を傷めてしまうので要注意です。洗剤メーカーに勤務し、工学博士でもある日刊住まいライターが、自身が実践している浴室を傷めずに、長くきれいな状態を保つ、洗剤の使い方と掃除法を紹介します。
すべての画像を見る(全5枚)汚れを落とすカギは「洗剤」「温度」「こする」の3つ
汚れを落とすためには、洗剤、温度(正確には原液を薄める水の温度)、こするなどの物理力が重要です。汚れを落ちのよい洗剤を、比較的高い温度で使い、より強い力で汚れをこすれば、頑固な汚れでも落としやすくなります。
さらに、同じ洗剤でも、汚れと接触する時間が長ければ長いほど、汚れに対しては効果的。ですから洗剤をお湯などで希釈して、高温の状態で使用すると、効果を発揮します。水温の高い洗剤が汚れと触れることで、洗剤と汚れが反応しやすくなり、汚れが落ちやすくなるためです。
ただ、実際には原液の状態で使用するケースが多いと思います。その場合は、洗剤は常温になるので、水温による効果はあまり期待できません。
そこで今回は、洗剤を原液の状態で使用するケースでの、洗剤の選び方と掃除法(こするなどの物理力)の2点に絞って、浴室を傷めずにきれいになる方法を紹介しましょう。
浴室掃除の基本の洗剤は中性の浴室用洗剤と塩素系漂白剤
浴室で発生する汚れは、おもに皮脂汚れ、石けんカス、水アカ汚れ、菌類(黒カビ、ピンク汚れ)、排水溝内の髪の毛などです。
浴室用洗剤の種類は、中性、アルカリ性、酸性、漂白系(厳密にいうと、アルカリ性に属する)と大きく4つに分けられます。漂白剤は塩素系と酸素系の2種類があり、塩素系は除菌効果が高く、酸素系はマイルドで扱いやすい特徴があります。なお、最近の浴室用洗剤には除菌剤が含まれており、塩素系ほどではありませんが、除菌できます。
頑固な皮脂汚れを落としたい場合はアルカリ性の洗剤が、水アカ汚れの場合は酸性の洗剤が効果的。ですが、中性洗剤でも落とせないことはありません。中性洗剤のメリットは、アルカリ性や酸性の洗剤に比べて、浴室で使われている部材を傷めないこと。使用者にとっても、安全で扱いやすいです。
わが家では、菌類と排水溝内の髪の毛に対しては塩素系の漂白剤で、それら以外の汚れに対しては、中性の浴室用洗剤を使うようにしています。