忙しくても、貴重な小学校時代を親子が一緒に過ごせる時間をもてた

実際にPTO活動に参加をした保護者の方に話を伺いました。

娘と私
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大田区嶺町小学校に、小学2年生の長女を通わせている由美子さん(仮名)は、フリーランスの編集者。在宅勤務とはいえフルタイムで働いており、保育園時代は「小学校PTAの役員決め」などに漠然とした不安を感じていました。

嶺町小学校に入学してみると、PTOに関する資料が配られ、「やらないといけない義務感を廃止して完全ボランティア制で運営している」という説明を受けたそう。当初、忙しさもあって「拘束時間はないのはとても助かる」と思っていた由美子さんですが、娘の希望もあって、たまたま時間があいていた日のボランティア活動に参加。

プレッシャーなしで子どもとともに楽しめる「サークル活動」のような現場に魅了されたようでした。

●前日にドタキャンの危機でも「無理なくご参加ください」

漫画『SPY×FAMILY』の主人公・アーニャの仮装がしたいという娘に、「ママもハロウィンのお手伝いをして」と頼まれた由美子さんは、事前に送られてきた登録フォームからハロウィンウォークのボランティアに応募しました。

「イベントの前日には娘の歯茎が腫れ、熱が出てしまいました。もしかしたらドタキャンするかもしれない事態に恐縮しつつ、担当者に経緯を説明するメールを送ると『お気になさらず、参加できるときに無理なくご参加ください』という返信が」(由美子さん)

病欠の返信としては想定内の内容ですが、翌日、朝一番に歯医者に行って回復した娘と現場に足を運ぶと、その言葉が「嘘偽りの無い本音」だと実感します。

「PTOのメンバーは、心から楽しんでボランティアに参加しており、サポーターのキャンセルが出てもフォローできるような仕組みで運用されていました。帰宅部の人がいても気にならなかった学生時代の部活のように、『自分が楽しいから活動していて。活動しない人がいても問題ない』というようなスタンスだったので、気負いなく参加できました」(由美子さん)

●参加したい人にペナルティはないけれど参加した人にメリットはある

PTOには様々な趣味や特技、職業を持つ保護者が参加しており、ハロウィンウォークの現場には、本格的な一眼レフを持ったカメラマンも参加していたそう。
「イベント開始前のまだ人が少ない時間に、仮装をした子どもとの写真を撮影してもらい、一般参加より多くの記念写真をもらうことができました」(由美子さん)

「参加しないペナルティ」ではなく「参加する特典」を設けることで、よりいっそうモチベーションがあがる効果も。また、子どもが思春期に入ると親子で過ごす時間がとれなくなる傾向があるなか、貴重な小学校時代を親子が一緒に過ごしイベント運営に取り組む経験そのものにも、多くのメリットが感じられたようでした。

「1回だけ」と気軽に参加して楽しくなり、2~3年続けるメンバーも多いという、嶺町小学校のPTO。無理なくそれぞれの「得意分野」を活かせるシステムは、親にとっても子どもにとっても得るものが大きい環境と言えそうです。