●手放す罪悪感を減らす“儀式”を決めておく

また、手放すときの儀式があると、罪悪感が少なくてすみます。私は思い出のものを手放すとき、写真に撮ってからというのもしていますが、思い出の濃いものなら「最後にもう一度使ってから捨てる」というようにしています。面倒なことと思われるかもしれませんが、これで気持ちよく手放せるようになりました。

テレビ
すべての画像を見る(全4枚)

これは30年近く前に買った、テレビデオという家電です。ご存じですか? テレビとビデオデッキが一体化しているものです。

亡くなった息子には重い知的障害があり、目を離せないほど多動な状態でしたが、このテレビデオで好きなビデオを見るということは楽しんでいました。そのときのうれしそうな様子が忘れられなくて、なかなか手放す気になれなかったものです。でも数年前、思いきって処分しました。押入れのなかで場所を取っていたし、代わりに孫のものを入れておきたいと思うようになったからです。

処分する前に、「最後にもう一度使ってから」というのをやってみました。息子が好きだったビデオを再生してじっくり鑑賞したら、バックで流れている歌も思い出し、胸がいっぱいになりました。と同時に、「これでいいんだ」という思いもこみあげてきました。思い出のものを手放す私の儀式が終わり、納得して処分できたのです。

おもちゃ
子どものために買った鯉のぼりやおもちゃは寄付へ

どうしても捨てられず、だれかに役立ててもらいたい場合は、人に使ってもらえる方法を探しました。上記の鯉のぼりやおもちゃは、寄付できるところを探し、手放しました。

私自身が昔もらった賞状や記念品は、可燃ゴミと不燃ゴミに分けて捨てました。写真も念のため撮っておきましたが、もう見ない気もします。捨てられないと思っていても、捨ててみたら案外そうでもなかったというものがにほかもありましたから。

●50代は「思い出」を整理しやすい時期

私のブログの読者さんや片づけセミナーをご受講いただいた方からは、「思い出のものを捨てることに罪悪感があって…」というお話を伺うことがあります。その気持ちは私も同じだったので、よくわかります。だから、思い出のものを整理したいという気持ちより、手放す罪悪感の方が勝るうちは無理をしなくていいです。

それでも、私が思い出のものの整理についてこのように書くのは、年齢を重ねれば重ねるほど手放すハードルが上がるというのを、母や義母をみていて思ったからです。子どもに負担をかけたくないという思いはあっても、手元からなくなるのが寂しいと母たちが思っているのがわかったから。50代の今なら、思い出のものの整理でそこまで寂しくなることはないと思います。これからも思い出が残るような経験ができるからです。

思い出のものを片づけると自分の過去と向き合うことになるので、頭の中が整理できます。これからの自分に必要なものが何かを、確かめることにもつながります。そろそろ整理したいと思っている方は、ぜひ始めてみてください。

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