編集者・ライターとして多くの人に会い、暮らし方などを取材してきた一田憲子さん。ご自身の暮らしや生き方のアイデアも、ESSE、ESSE onlineでも大人気。人生の折り返し地点となる50歳を迎えた頃、ようやく自分らしい暮らしのスタイルにたどり着いたという一田さんがやめたことや、もの選びで意識していることをまとめてご紹介します。

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一田憲子さん
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一田さんが自分らしい暮らしにたどり着くための第一歩だと話すのは、自分の欠点を受け入れること。今の思考に行きついた過程を振り返っていただきました。

●「欠点を直そう」ともがくのをやめた瞬間、欠点がすてきに見えるようになった

「50歳を過ぎて、大きく変わったことは、欠点を無理して直そうとしなくなったことです」と、一田さん。

「これまで、『なにごとも継続が大事』とわかっていても、どうしても飽きてしまうのを、つらく感じていました。たとえば、ダイエットのために甘いものを断とうと決意しても、3日ともたず、それどころか反動でもっと食べてしまったり。でも、三日坊主の習性はどうしても直らない。飽きるものは飽きるんです(笑)。

そこで、それを自分の個性だと受け止めて、欠点を個性として生かそうと思考をチェンジしました。私は雑誌の編集やライターをしていますが、この仕事は次々といろんなことに興味をもった方が誌面に生きてきます。そう考えると、長所と欠点は表裏一体。欠点に見える癖も、別の角度から光を当てれば、長所になる。『継続が大事』という思い込みをやめることで、長所に気づけたんです」

若い頃は、「~であるべき」という思い込みがあり、それに即していないことがつらかったという一田さん。それが年を重ねるにつれ、思い込みがだんだんほぐれていったのだそう。たとえば、もし家事が苦手でなのであれば、そこを無理せず受け止めたっていいといいます。

●見栄を張ることで人は成長する。だけど、「疲れる見栄」ならやめていい

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長い期間を経て、気づいたことはほかにも。

「若い頃、作家さんや有名ブランドの美しい器を買い集めていた時期がありました。でもあるときから使い心地に違和感を覚え、機能性を重視するようになったら、その方がラクだなと思えてきました。と同時に、気づいたんです。私が著名作家の器ばかり買っているのは、人に見せたかったから。そして、褒めてもらいたかったから。自分の家で食べる器なのに、人に見せたい器を買ってどうするのか…。でも、そこに気づくのにずいぶん時間がかかりました」

そう笑いながらも、一田さんは器を買い集めていた過去の自分を責めてはいません。理由は、「器を買い集める行為そのものが楽しかったから」。

「動機が見栄であっても、それで毎日が楽しくなったり、張りが出たりするなら、いいんじゃない? たとえば『すてきに見られたい』と思って、SNSに生活風景をUPするにしても、そしてそれが自分を大きく見せていたとしても、それで結果的に自分がワンランクアップするケースもあるでしょう。見栄は、成長するために必要なこともあるんです」

その一方で、必要でない「見栄」もあると言います。

「ずっと見栄を張っていると、疲れることも。その理由を分析して、『身の丈以上のことをしているからだ』と気づいたら、そこでやめればいいんです。大事なのは、自分はワクワクしているのか、疲れているのか、どちらなのかを考えてみること。SNSにUPして『いいね』ボタンを教えてもらうことが楽しみなら続ければいいし、無理しているとわかれば、すぐにやめればいいんです」

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