コロナ禍で家にいる時間が増えたのをきっかけに、それまで料理をしなかった人が自分や家族のためにつくるようになったり、普段はつくるのが面倒な手の込んだメニューに挑戦してみた、という人は多いのではないでしょうか。
芸人・オコチャさんが書いた、「家族」と「料理」をめぐるPodcastドラマ
芸人・脚本家のオコチャさんもそのひとり。慣れない手料理に奮闘して失敗を重ねるうちに、おいしくつくれると楽しい、さらに人に食べてもらって喜んでもらえるとうれしい、という感情に目覚めたといいます。
●料理でつながる家族の物語
すべての画像を見る(全3枚)彼がそんな自身の体験をもとに、吉本興業とニッポン放送が共同制作するPodcastドラマ『食わざるもの、DON’T WORK』の脚本を手がけたのは2021年のこと。
高校2年生の生井(うまい)壮太が、とある事情で母親がいなくなったのをきっかけに、ご飯を食べなくなった中学2年生の妹・香織のために初めての料理に悪戦苦闘するストーリーは、好評をもって迎えられました。
まったくの初心者がぶつかりがちな“料理の壁”あるある、思春期ならではの甘酸っぱい苦悩やほろ苦い葛藤、食卓を囲んではじめて通い合う家族の気持ち…。
軽妙な掛け合いにクスリと笑っているうちに、いつしかホロリとさせられるハートウォーミングな物語に、オコチャさん自身も手応えを感じたようです。
本作と同じ“文久町”という小さな町を舞台にした会話劇を上演・配信したり、芸人仲間のボルサリーノ関、椿鬼奴とともに公式YouTubeチャンネル「在宅グルメ紀行」で全国の郷土の味をつくって食べたりと、その活動は作品の外へも広がっています。
このたび、そんな『食わざるもの、DON’T WORK』(扶桑社刊)が、オコチャさん自身の手によって小説化されました。イラストは、『大家さんと僕』が大ヒットしたカラテカ矢部太郎さんの描き下ろしで、ぬくもりのある絵柄がこの物語にぴったり。