文部科学省(2021年度)の発表によると、全国の小中学校にいる不登校児童・生徒数は24万4940人と過去最多を記録しました。また引きこもりについても、現在日本に約100万人以上いるとされています。そんな子どもたちが抱える問題に長年精神科医として向き合ってきたのが、シリーズ累計150万部超の大ベストセラー『ケーキの切れない非行少年たち』の著者である精神科医・宮口幸治先生です。最新作『普通にできない子を医療で助ける マンガでわかる境界知能とグレーゾーンの子どもたち5』(扶桑社刊)を上梓した宮口先生に、不登校や引きこもりの子どもたちの現状や医療機関での対処法などを伺いました。
すべての画像を見る(全11枚)日本の不登校の子どもの数が過去最多を記録
2021年度の発表で、不登校の子どもたちの累計は過去最多数を記録。不登校とは、年間30日以上欠席した人のうち、病気や経済的な理由による人をのぞき、何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、「登校しない」あるいは「したくともできない」状況を指します。
では、自分の子どもはもちろん、周囲に引きこもりの子どもがいる場合、どのような対応策を取ればよいのでしょうか。精神科医の宮口幸治先生に伺いました。
「登校していないということは、子どもが何らかの生きづらさを抱えている可能性があります。保護者や学校でのヒアリング、小児科や児童精神科の診察などを経て、その子の様子を注意深く観察しましょう」
また、不登校は、子どものSOSサインの一つでもあり、周囲の大人たちはその兆候を注意深く見守ることが大切だとか。医療機関を受診した場合、どのような対処法が取られるのでしょうか。
「不登校児は、最初は腹痛や頭痛、吐き気などの身体症状を訴えて休み始めることも多いため、小児科や内科を受診することも少なくありません。医療機関では、たとえば起立性調節障害といった疾患がないか、睡眠が不規則ではないかといったものから、意欲が出てこない、気分が落ち込む、集中力がないといったうつ病のような症状、ゲーム依存になっていないかなど、さまざまな面から経過観察が行われることが多いです」
●漫画で見る子どもの心の状態
ここからは、『普通にできない子を医療で助ける マンガでわかる境界知能とグレーゾーンの子どもたち5』(扶桑社刊)より抜粋で、子どもの引きこもりについて書かれた漫画を紹介します。