日本では6割の夫婦が陥ると言われるセックスレス。ESSE onlineでは、神奈川県にお住いの加奈子さん(51歳)に取材。若い当時、激務のなか、なんとか妊活に成功した加奈子さんでしたが、その後、夫が深刻なEDになってしまいました。20年がたった今でもレスのまま。不倫や離婚にもつながりかねないレスの問題。50代になった今、レスの関係をどのように受け入れ、乗り越えたのか、詳しく聞きました。
すべての画像を見る(全6枚)子どもも妻も死ぬかもしれない。長期入院の最中に夫が…
妊活を始めてすぐに夫がプレッシャーに耐えられず、性行為の際にできない、継続できない状態になってしまったお話を前回しました。
それでも根気強くタイミングをとり、なんとか着床の確認もできて、私は初めての妊娠にワクワクドキドキしながら過ごしていました。
●激務と低体重が原因!?切迫早産で入院になる
妊活からマタニティー生活へ。少しずつ大きくなっていくおなかを毎日なでながら、「生まれたら仕事をセーブしなきゃならなくなるから、今のうちにがんばらなきゃ」と、このころの私は、今まで以上に仕事にまい進していました。
そんなある日の検診でのこと。エコーを診る医師の表情がくもり…。
医師「おなかの子、成長がゆっくりです」
と、深刻な口調で伝えられました。
もともと子宮が弱いことに加え、私自身のもとの体重が少ないこと、そしてつわりもひどく相変わらずの激務で食事をちゃんととれていなかったことなど、さまざまな要因が複合的に影響していたのかもしれません。思い当たる節が多すぎて、後悔の涙が止まらなくなってしまいました。
その日のうちにすぐに切迫早産の診断が出されて入院することに。わけがわからず、大急ぎで荷造りして病院へ駆けつけてくれた夫がものすごく不安そうな顔をしていて、私は猛烈に反省をしました。仕事ばかりしている場合じゃなかった…。
●突然の長期入院。ひとりで苦しんだ夫
このとき夫は医師からはっきり、私の命も子どもの命も、両方危ない状況であるという詳細な説明を受けていたそうです。
病室では「母体に万が一のことがあると、おなかの子どもも死んでしまうので、病院としてはいざというときは母体優先の対応をする」という話をされました。
私は「自分は死んでもいいから、なんとか子どもを助けてほしい」と自分の希望を伝えたのですが、医師は「生まれてすぐに母親のいない子どもにするわけにはいかないでしょ」とピシャリ。返す言葉がなくなって大号泣してしまいました。
お産は命がけと言いますが、妊娠7か月で突然始まった長期入院。私はおなかの子どもと一緒にがんばろうと、すぐに気持ちをきり替えられたけれど、夫は家でひとり。とてもつらい思いをしてたくさん悩んでいたことを、あとから知りました。
●産後、夫がますますセックスを拒否するようになった理由
結局、子どもは1800gで予定よりも早く生まれてきました。NICUの保育器の中にいるわが子は本当にかわいくて、ここに至るまでいろんなことがあったけれど、この子に出会えてよかったという気持ちがあふれてきました。
産後は私が先に退院して、子どもはしばらく入院が続いたのですが、夫は私が搾乳した母乳をNICUにいる子どもへ毎日届けてくれました。
まさに二人三脚で始まった子育て。家で3人暮らしをするようになると仕事も家事も子育ても、それはもう忙しくて睡眠不足な日々が続きましたが、かわいいわが子を抱きしめながら幸せな気持ちをかみしめていました。
しかし、気になっていたのは夫との夫婦生活のこと。
夫は私の出産時のトラブルで、一度は最悪の事態が起こることも覚悟してしまい、性行為をして子どもができたら、また私の命が危険にさらされるかもしれない。大切な人を失ってしまうかもしれない。常に恐怖感が消えないという話をしてくれました。
「だったら避妊をすれば」と伝えたのですが、「家族になっちゃったからできないんだよ」とぼそり。
この話し合い以降、私がベッドへもぐりこんでも夫にはっきりと拒絶されるようになってしまいました。