●高級品と安価なものの大きな違い

「プロが使うレベルの高級品と安価なものには、2つの観点で大きな違いがあります。1つ目は、刃の素材や刃つけ(包丁の刃先を研ぐこと)。2つ目は機能性も加味したデザイン性です。たとえば弊社が新発売させた最上位モデルである「関孫六 要」は、切れ味が長持ちするよう、薄刃でありながら高硬度で、さびにくく、研ぎやすい三層鋼の新鋼材が採用されています。また握りやすさ・使いやすさを追求し、八角柄でスリムな口金(刃と柄の間の付け根部分)にこだわっています」(貝印、以下同様)

切れ味
貝印の「関孫六 要」でキャベツとトマトを切ってみました。切れ味だけでなく、極上の使い心地を実感しました
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今回私は貝印の「要」を使用してみましたが、安い包丁を何度も使用したことがある立場として、その違いを瞬時に実感することができました。素材や製造法について、冷静かつ客観的に違いを知る姿勢をもてれば、正しい包丁選びに近づいたといっても過言ではないでしょう。

「比較的リーズナブルな包丁が一概に悪いとは言いませんが、これらの2点が簡素化されていることが多く、購入時から切れ味が劣ったり、最初の切りやすさが長続きしないなど、大きな差が出てくることは間違いありません」

●高級包丁が、必ずしもいい包丁ではありません

包丁選び
貝印の包丁だけでも驚くほど種類があります。用途や強み・弱みも様々。 (左から)関孫六要、関孫六ダマスカス、関孫六匠創、関孫六茜、SELECT100® キッチンナイフミディアム、リトルシェフクラブ

皆さんに誤解していただきたくないのは、ここでの主旨が「高級包丁を買いましょう」というアドバイスではないということ。じつは包丁は価格帯だけで区別することはできず、素材、構造、重量、ターゲットなどの点においてそれぞれ強み・弱みがあり、いくら高級包丁であっても使う人によってデメリットを感じる可能性も出てくるということなのです。そこで最後に、包丁選びをユーザー目線で考えた時に重要となる視点を3つご紹介したいと思います。