●二拠点生活をして気づいたこと

みかん畑
すべての画像を見る(全3枚)

――昨年から、地元・愛媛との二拠点生活もスタートし、生活もがらりと変わりましたね。

高橋 1か月おきに東京と愛媛を行き来する生活をしているのですが、1年かけてようやく定着してきましたね。サトウキビや野菜などを育てる畑はチームをつくって作業をしていて、1か月は私もしっかり農作業をして、東京にいるときは畑を見守ってもらっています。みかん畑は家族でつくっていて、今はまさにみかんの農繁期なんです。

――今が一番大変な時期ということですか?

高橋 ずっと畑に出ていて息着く暇もないほどです。日が暮れるのも早く、朝からかなりシャカリキで作業しています。今年のみかんはとてもよくできているなぁと喜びを感じているところです。この成果があるのも、春にコツコツとメンテナンスをしたおかげ。特にうちは無農薬栽培なので、一本一本、幹に虫の穴を見つけて退治したり、夏場の草刈りや、もぐらのつくった地下通路を埋める作業も大変でした。

――まさに1年かけてやってきたことが形になるのですね。

高橋 私にとって収穫期は、卒業式のようなものだなと思います。時間をかけてコツコツ作業をしてきた集大成が今。そういう意味では農作業は「ものづくり」とも言えますね。ミュージシャンや作家さんは土(農作業)に興味を持つ人が多いと聞きます。形になったものは、音楽、小説と同様に農作物も作品です。目に見えて結果になるので、クリエィティブなことが好きな人に向いているのではないでしょうか。

 

●どこに住んでも暮らしに目を向ければ楽しい

高橋久美子さん

――二拠点で暮らすことで、東京と愛媛どちらもよさも感じられそうです。

高橋 完全移住という形にできなかったのは、東京もまたおもしろい街だから。私が作家として書くことを続けるためには、東京にいることが必要だと思ったんです。田舎も都会もどちらも魅力的です。贅沢な選択だと思う人もいるかもしれませんが、拠点を2つにすることは、自分にいちばんぴったりな形でした。

――最初におっしゃられたように、東京でも地方でも、暮らしに目を向ければ、どこでも豊かに楽しく暮らせるということを、この連載で教わった気がします。

高橋 東京だってすべての場所に人がたくさんいてごみごみしているわけじゃないし、探せば暮らしの豊かさはたくさんあるはず。先ほどのタケノコや梅も目を向けることで見つけられたもの。日頃から嗅覚を育てていくのが大事なんじゃないかと思います。「暮らしっく」はそんな嗅覚のみがき方も知ってもらえるかな。おうちのこと、季節の食事のこと、捨てない暮らし、ご近所さん、二拠点生活など、ぜひ興味あるところから読んでいただきたいなぁと思います。みなさんが暮らしをおもしろがるきっかけになれば嬉しいです。

 

サイン本の予約はこちらから

12月11日(日)14時半よりイベントを実施!詳しくはこちらから

暮らしっく

暮らしっく

Amazonで購入する