●3.家を欲しいと思わなかった

女性と家
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家はたいていローンで買うので、たとえ手持ちが少なくても、定職についていれば、買うことはできるでしょう。しかし、私は、家そのものをあまり欲しいとは思いません。

カナダに来てから、私よりかなり若いけれど、同じ頃に子どもを生んだ日本人の友人ができました。

彼女はマイホームを持つことを目標にがんばっていた人で、念願叶って、とても素敵な白い家を建てました。友人が新築の家に入居してすぐに、娘(当時5歳ぐらい)と遊びに行ったことがあります。

郊外の果ての果てにあったその家は、かなり広く、白くて、新しくて、2階建てでひろびろとして、バスルームが2つあり、ゲストルームもありました。アイランドカウンターがあるキッチンは、アメリカのドラマにでてきそうです。

「まあ、すてきねえ」と言った私の言葉に嘘はありませんでしたが、心の中では、「でも、こんな大きな家、私は絶対いらない」と思いました。

巨額の住宅ローンを払うことになるし、部屋がたくさんあるから掃除も大変。なにより、こんな大きな家にものを溜めこみがちな夫と入居したら、どこもかしこもたちまち、夫のもので埋まってしまいます。収納スペースがあると、人はものをためこみますから。

持ち家があると、よくも悪くもその家にしばられるので、それも私の性格に合いません。人は必ず年をとるから、老後にダウンサイジングを迫られることもあるでしょう。病気、離婚、失業、転職など、家を買ったときには、予想もしていなかったことが、ローンを支払っている間に、起こるかもしれません。

こんな理由から私は賃貸住まいですが、北米でも、「マイホームを持って一人前」、「マイホームを持つのが夢」と考える人がたくさんいます。自分の家は、自分の好きなようにできますし、なによりその人のプライドやアイデンティティの拠り所になります。

ただ、私にとってマイホームは、ものすごく巨額の買い物のわりには、維持や管理にお金がかかり、行動を制限し、ガラクタの温床になりそうな厄介なものなのです。

 

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