じつは今、75歳以上の女性の4人に1人が「低栄養」におちいってしまっている。そう話してくださったのは、訪問管理栄養士の中村育子先生です。中村先生は、著書『75歳からのラクラク1品栄養ごはん』(扶桑社刊)のなかで「低栄養になると、体力低下や感染症に対する抵抗力の減退なども招くので、細心の注意が必要」と話しています。 br> 「1日3食きちんと食べているのに?」と思う人も、「そうは言っても、若い頃より食欲が減るのは当たり前ではないか」と思う人もいるでしょう。しかし、低栄養の状態が続くとさまざまな健康リスクが生じます。特に、寝たきりや認知症を引き起こす可能性のある「サルコペニア」について、詳しく教えてもらいました。
すべての画像を見る(全7枚)栄養不足で寝たきりリスクも?シニア世代が意識していきたい食事術
75歳を超えた人の体は、筋肉がつくられにくくなっています。中村先生は「これまでと同じ量のタンパク質を摂ったとしても、筋肉などをつくる効率が悪くなる」状態だと指摘。今まで以上にタンパク質の量を意識した食生活を心がけ、痩せすぎを防ぐことが大切です。
●タンパク質が減るとあらゆるリスクが
タンパク質をとる量が減ったり、タンパク質が筋肉になる効率が悪くなったりすると、さまざまな問題が出てきます。
【タンパク質のおもな働き】
・筋肉を強くする
・1gあたり4kcalのエネルギーを生み出す
・体の機能を調整するホルモンをつくる
・精神を安定させ、不眠やうつを防ぐ
・免疫機能を高め、病気やケガの抵抗力、治癒力を高める
・神経伝達物質を合成し、脳を活性化させる
・体内でエネルギーをつくり出すための酵素をつくる
・内臓、血液、筋肉、皮膚、髪、爪など、体を構成するものをつくる
このタンパク質が不足すると、筋肉量が減って「サルコペニア」という状態になったり、新陳代謝が悪くなったり、脳の働きが鈍くなったりと、普段の生活がしづらくなっていきます。
サルコペニアとは、加齢による筋肉量の減少のこと。筋力が衰えること(サルコペニア)で、身体機能や活動量が減り、食事の量が減り、体重の減少や低栄養を引き起こす、負のサイクルが生まれてしまうのです。この悪循環が、寝たきりや認知症のリスクを上げ、要介護状態へとつながっていきます。
●サルコペニア危険度チェック
70代の筋肉量は、20代の頃の4割程度にまで減少してしまうことがわかっています。自分の筋肉量の減少(サルコペニア)は、どのようにチェックすればいいのでしょうか。中村先生がおすすめしているのが、ふくらはぎをつかった「指輪っかテスト」です。