●38歳で初の著作を出版。ニットデザイナーに
すべての画像を見る(全3枚)帽子やマフラー、ミトン等々、作品点数はどんどん増え、広く評判を呼ぶようになったある日。長年、展示会で三國さんの作品を見てきた編集者からのアプローチで、当時展示していた作品とその編み方を紹介した『編みものこもの』(文化出版局 刊)を出版。38歳で初の著書を出版したのを皮切りに、編み図(同じものを編むための設計図)を作成しては著書を出版する人気ニットデザイナーとして活躍するように。
「私は人と協力して進める団体作業はあまり向いていないけれど、一人でコツコツやる仕事ならできる。自分でいうのもなんだけど、すごく一生懸命にやるんです。それも気長に、飽きずに。そうやってひたすら手元を見ていたら、いつの間にかここまで来ていました。ずっと続けていると、あるところで変化が起きてくるんですよ。人生って不思議だなぁと思います。
エッセーにも、幼少時に父から『まりこはスローモーだな』と言われたエピソードを書きましたが、私は本当に子どもの頃からずっと、生きるリズムがゆっくりで、本当にスローモーな大人になった。でもまあ、それもひとつの幸せな生き方かもしれないと、この頃は思います」
大物のセーターをじっくり編むように、ゆっくりと自分に向き合ってきた三國さん。『編めば編むほど私はわたしはわたしになっていった』(新潮社刊)は、三國さんのこれまでの歩みが心情豊かにつづられています。ぜひご一読くださいね。