忙しい工務担当者のところでミスが発生することが多い
すべての画像を見る(全9枚)現場の建築資材の発注などを取り仕切る工務担当者は、ローコスト住宅を得意とするハウスメーカーだと、常時5~10件くらいの現場をかけ持ちします(中小の工務店でも3~5件くらいの現場が同時に動くことがあります)。
とくに消費税の増税や、補助金の申請締め切りが間近になると、駆け込みで担当する数も増えることに。そのことによってミスの発生確率が高まります。
さらに、普段ならチェックして途中で気づくはずの工事が、直されないまま進むという負の連鎖が起こります。とくにかけ持ちの多いローコストメーカーほど、ミスが出やすい構造をはらんでいるともいえます。そのため、施主サイドができることとして、以下の点に注意しましょう。
「計画段階の打ち合わせで決定し、材料の手配が終わったあとの変更は避ける」
仮に可能だとしても、その変更には非常にリスクがともないます。施主からは見えにくいですが、材料の変更は、建材屋に発注した商品を変更するだけではありません。その変更を現場の業者に伝えなければならず、図面変更が発生する場合もあるのです。
その結果、施工の手順や日程を変更などの作業が発生する場合もあります。
ハウスメーカーで頼んでも、実際に建てるのは工務店
よくある誤解ですがハウスメーカーに頼むと、ハウスメーカーの従業員が工事を行うと思われている方がいます。しかし、それは間違いです。
木造住宅で行われる工事の多くの場合では、ハウスメーカーで注文しても工事するのは、工務店であり大工さんです。
また設備であれば設備屋さん、電気であれば電気屋さんといったようにそれぞれの作業が分業で行われていて、多くの業者が関わっています。
上の写真は、量水器の位置の手直しをしてくれているところですが、これもまた別の業者さんです。
では、ハウスメーカーはなにをするのか。ひと言でいうと、工事全体のコーディネート。工事をする人ではありません。この仕組みを理解すれば、急な変更や確認不足がなぜ起こるのかが、理解しやすくなると思います。また、技術的な要素以外の部分でのミスの予防策が見えてきます。
ちなみに、工務店の場合には、コーディネートを行いながら、みずから現場に入って大工仕事をしているという感じです。
施工ミスを減らすには、良好な意思の疎通から
図面どおりにできているのか照合しながら工事をチェックすることは、専門家でないと現実には難しいと思います。
施主にできることは、まず、急な変更をなるべくしないようにすること。そして、打ち合わせのメモを残し、確認することです。上の写真は、メーカーが用意した打ち合わせ記録です。現場に行ったときに、これと照合して確認するだけで、起こりうる施工ミスを大幅に減らすことができます。
そのためにも、現場に顔を出したり、コミュニケーションをしっかりとることは重要。それができていれば。急な変更をしてしまったときに、「●●の変更をしたのですが、聞いていますか?」と確認することもできます。また、教えてもらうこともあるかもしれません。
工事は人と人で打ち合わせし、人の作業によってでき上がるもの。ですから施工ミスを減らすいちばんの方法は、意思の疎通や、気になることの確認の積み重ねなのです。