流行の過ぎた服や写真や手紙、CDなど、使うことはないとわかっていても捨てずにとっておきたい思い出の品はどこの家庭にもあるもの。
でも、それらにスペースを取られすぎて、今の暮らしを圧迫してしまっては本末転倒です。思い出品に縛られず、納得して手放すにはどうすればいいのでしょうか。
「全部捨てなくても大丈夫。でも、“ゆる捨て”で少しずつ身軽になると、今をもっと大切できるようになりますよ」と教えてくれたのは、もたない暮らしに関する著書やブログが人気の筆子さん。“ゆる捨て”について教えていただき、実際に読者に体験してもらいました。
段ボールに詰まった思い出品を処分
筆子さんが提案する“ゆる捨て”は、「毎日15分、気になる場所のいらないものを捨てていくだけ」というもの。ここでは読者が実際に、目を背け続けてきた物置部屋のものの処分に挑戦しました。
体験してくれた読者 Kさん(30代)
夫、長女(4歳)と3LDKのマンションに暮らす
パズルのようにきっちりはめ込む収納が得意なKさん。部屋は一見きれいでも、ものは多めです。とくに思い出のものが捨てられず、物置としてひと部屋がつぶれてしまっているほど。今回は物置部屋とクローゼットのゆる捨てに挑戦しました。
●段ボールに詰まったCD。今聴きたいものだけを残して処分
すべての画像を見る(全14枚)まずは物置部屋の段ボールをひとつだけ開けてみると、懐かしい思い出がつまった独身時代のCDが入っていました。
「できるか少し不安でしたが、今聴きたいかどうかで判断したら15分ですんなり終了! 段ボールを明るいリビングへ運んで作業したので、気持ちが暗くならず、いい気分転換に」(Kさん)
<捨てたもの>
今聴きたいものだけを残して、結婚後1度も聞いていないものを59枚処分。
「全部大切だと思っていたけれど、意外となくてもいいものが多くて驚きました。思い出への気持ちも、時間がたつと変化するんですね」(Kさん)
【BEFORE】
大きな段ボールの中はCDでぎっしりでした。
【AFTER】
CDを半分以下に減らすことに成功!
「たったの15分でこんなに捨てられ、気持ちが軽くなりました」(Kさん)
●大切なのは、ものではなく体験です
音楽を楽しむことは、旅の体験に似ています。
「その思い出を忘れないようにものをとっておきがちですが、体験したことは脳が記憶しているので、ものは手放して大丈夫です」(筆子さん)
よく見るとシミや傷みが気になる新生児服を処分
思い出がありすぎて処分できなかった新生児服。CDを捨てられたことで自信がつき、ようやく取り組むことにしました。
「2人目や友人の子どものために、と思って丁寧にしまっていたけれど、この機会に見直してみます」(Kさん)
<捨てたもの>
1枚ずつ広げて見てみると、予想以上にシミや傷みが…。
「思い出もつまっているし、意外と高価だったので、ずっとしまっていましたが、服の状態を見て、もういいかなと納得。肌着類22枚を手放しました」(Kさん)
【BEFORE】
生地が傷んでいるものも多く混じっていました。
【AFTER】
段ボールが半分あいてモチベーションアップ!
「15分だけでいいので、続けていて苦になりません。次は、自分の服を見直そう! と明日のゆる捨てが楽しみに」(Kさん)
旬が終わった服は捨てて、クローゼットを使いやすく
いつか着るかもと思ってとっておいた服と、今着ている服が混在していて、Kさんのクローゼットはパンパン。子ども服の収納ケースも同じような状態です。これを機に整理して、使いやすいクローゼットを目指します。
●サイズやデザインがしっくりこない服を減らす
平日、ひとりの時間ができたので、満を持して自分の服にトライ。
<捨てたもの>
シンプルだからととっておいた服は、着てみるとサイズが合わず、デザインも古くて着られない状態。
「ずっと着られると思っていたけれど、“一生もの”はないんだなと実感しました」(Kさん)
●万が一やせても、その服が似合うとは限りません
やせたら着ようと思ってはや数年…。その期間、自分も歳をとっているので、やせても似合うとは限りません。
「わからない先のことより、今、着たい服に囲まれていた方が楽しいですよ」(筆子さん)
またファッションの流行は巡るといいますが、仮に同じような服がはやったとしても、素材やカッティングは違います。昔の服を今着ると、若づくりになって痛々しいことも。旬が終わった服は捨てても後悔しません。
「だれかにあげるから」と、捨てられなかった子ども服を見直し
友人にあげようととっていたサイズアウトした服と、今シーズンも着る服が入り混じった子ども服の収納ケース。洗濯機を回している時間を利用して、ゆる捨てスタート!
「よく見るとくたくたで、あげられない服が多そう…」(Kさん)
<捨てたもの>
1枚ずつ手に取り、生地が傷んでいる洋服、肌着、パジャマなど50点近くも捨てられました。
「思い出のあるものは少し残したものの、日を追うごとに捨てられる量が増えてきているので楽しいです!」(Kさん)
【BEFORE】
小さく畳んだ服が、すき間なく窮屈に並んでいました。
【AFTER】
2つの収納ケースに余白ができ、ケース1つにまとめられる量に。
「ものを捨てていくと、収納ケースがあくのもそう快です!」(Kさん)
●人にあげるつもりで保管しない
「捨てにくいからと、だれかに譲ろうと残している服があったら要注意。それは、ありがた迷惑になるかもしれない行為。大切な人を、いらない服の処理係にしてはダメですよ」(筆子さん)