近年話題のSDGs。“持続可能”というキーワードにもとづいて、食やレシピについての特集を続けてきた4つの雑誌が一緒に、あらためて「料理をつくり続けることのよさってなにかな?」ということを話し合ってみました。『NHK きょうの料理ビギナーズ』『オレンジページ』『クロワッサン』、そして『ESSE』の編集長が語ります。
すべての画像を見る(全2枚)料理雑誌の編集長たちが考える「持続可能なごはんづくり」とは?
『NHK きょうの料理ビギナーズ』編集長・米村望、『オレンジページ』編集長・松田紀子、『クロワッサン』編集長・郡司麻里子、『ESSE』編集長・大橋圭介の対談の様子をお届けします。
●SDGsを料理で捉えると社会派ネタもグッと身近に
郡司:(以下郡)今回、料理家の上田淳子さんの発案で、4誌合同企画なるものが生まれたわけですが…。統一のテーマをなににするか話し合い、ニュースでも話題の“SDGs”になりました。
大橋:(以下大)ただ、持続可能と日本語にすると肩ひじはった感じがするから、もう少し読者に近づけたい、と思うと、やはり料理がきり離せませんでしたね。
松田:(以下松)社会派すぎるわけでもなく、自分も、家族もうれしくて、暮らしに密着した持続可能な料理…。まさに今の気分にぴったりなテーマです。
米村:(以下米)『NHK きょうの料理ビギナーズ』が考えたのが、料理をするたびにちょっとずつ残って、廃棄してしまうこともある半端野菜の活用法でした。
松:どの家庭でも絶対ありますよね。食材に対して罪悪感が生まれますし、使いきれなかった自分にもがっかり…。ゴミを減らして上手に食べきる、SDGsな暮らし方のひとつですね。
『オレンジページ』が注目したのは、精神的な面での持続可能。料理は家族の健康と幸せを支える大切なものですけれど、つくる側の心身がいつも100%なわけではありません。下味をつけた冷凍肉を用意しておけば、料理時間を短縮でき、おいしいメイン料理がつくれる、というレシピを紹介しています。ラクはできるけど、私も家族もみんなうれしい、という点がポイント。けっして手抜きとは言わせませんよ(笑)。
郡:手抜きって言葉はいやですもんね。自分でもそう思いたくないし、つくった料理を家族に「今日は手抜き料理だね」なんて言われたら最悪です(笑)。『クロワッサン』では、日々考えることがおっくうになる「献立」から一回離れてみようと考えました。料理はこうあらねば、という固定観念を外し、つくる人の負担をできるだけ減らせるアイデアを紹介します。
大:つくる人が常に妻である、ということも変えていきたいですね。『ESSE』の読者アンケートでは、「夫や子どもに家事を手伝ってほしい」という答えがもっとも多く、ここをなんとかせねば、と今回「家族におまかせ ラクごはん」という企画を考えました。
毎日のごはんづくりに疲れた、なんてことにならないように、料理を難しく考えず家族が楽しんでつくれる、おいしくできる、そんなレシピが必要です。
●読者のニーズを深掘りし、雑誌らしい切り口で発信
郡:夫や子どもが成功体験を重ねれば、率先して家事を手伝ってくれそうですね。
大:料理をつくる男性は増えましたし、コロナ禍の影響で家での過ごし方や家事分担の考えも変わってきましたが、レシピにも時代の影響が強く出ますよね。
米:そうですね。個食が増えている影響からか、ビギナーズで最近いちばんヒットしたのが1人分レシピの企画でした。
郡:自分1人だとつい適当になってしまいますが、おいしく満足できる料理をつくるのは心身のためにも大事ですもんね。
松:一方で、年末のおせち料理のレシピは根強い人気がある企画です。一年じゅう丁寧な暮らしはできなくても、要所を押さえ、ほどよくきちんと暮らしたい、という気持ちが読者の根底にありますね。
米:欲しい情報やレシピは、ネットですぐ見つかる世の中。でも「こういうことが知りたかったんだ」という潜在的な欲求に応えられる企画をつくれるのは、雑誌ならでは…。今後もお互い競い合い、そんな企画をつくっていきたいですね。
ESSE11月号では「家族におまかせ ラクごはん」というテーマで、料理家の近藤幸子さんに、普段料理をしない人でも簡単においしくつくれるレシピや、失敗しないコツを教えてもらいました。
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