自然由来の素材で安全、かつさまざまな汚れ落ちが期待できる重曹。
なかでも「煮洗い」は手軽にできて、キッチンのアイテムの汚れ落としに効果的です。
掃除研究家でハウスキーピングコーディネーターのおそうじペコさんに、重曹を使った煮洗いについて詳しい方法を伺いました。
重曹の煮洗いで、ガンコな焦げつきもこすらずキレイ!
ここで紹介する「重曹による煮洗い」とは、汚れがこびりついた鍋やフライパンに重曹を溶かした水を入れて加熱したり、汚れた布を重曹入りのお湯に漬けてきれいにすること。
汚れ落としに効果的なポイントはおもに3つです。
●1.発泡力
重曹は加熱すると炭酸ガスが発生し、細かく発泡します。この泡がガンコな汚れを浮かす役目をします。
●2.アルカリ度の変化
重曹のアルカリ度はPH8.2で弱アルカリ性ですが、加熱するとPH11.2の炭酸ソーダに変化。高いアルカリの力で油汚れを分解する、というわけです。
煮洗い後の溶液を調べると、PHが11前後まで上がっていることがわかります。
●3.煮沸消毒
煮沸することで殺菌作用を得ることができます。
鍋やフライパンのガンコな焦げつきに!台ふきんの除菌にも重曹が活躍
それでは、煮洗いの具体的な方法と効果を見ていきましょう。
3つのパターンをお見せしますが、基本的な重曹の量は水1リットルに対し重曹大さじ1~3です。汚れに応じて加減してください。
●鍋の油汚れやこびりついた汚れ
(1)カレーをつくったあとのステンレス鍋です。ヘラで汚れをふき取りましたが、こびりついた油汚れが残ってしまいました。
(2)重曹大さじ3杯と水を入れます。鍋のフチまで水を入れると吹き出してしまうので、8分目程度にします。
(3)10分ほど煮立たせます。発泡すると周囲に重曹成分が飛び散るので注意してください。
(4)煮立たせながら、湯が届かない鍋の上部にお玉などで重曹水をかけます。やけどや吹きこぼれに注意してください。
(5)火を止め熱が冷めるまで放置し、お湯で洗い流します。スポンジで軽くこするだけで汚れがとれるのがわかります。
ご覧のとおりピカピカになりました!
鍋底にこびりついたそうめんや、ラーメンなどの麺類にも効果的です。
こすらずに落とすことできるので、ほうろう鍋などの汚れにも便利。
※ほうろう鍋は弱火~中火で沸騰させてください
●鉄のフライパンのひどい焦げつき
(1)ひどく焦げついてしまった鉄のフライパンを煮洗いします。
(2)重曹と水を入れて沸騰させます。気になる固い焦げは沸騰させながら、ステンレスのヘラなどで軽くこすります。
(3)ガンコな焦げつきも綺麗にはがれました。アルカリ成分でフライパン表面の油分が落ちてしまっているので、しっかり油返しをしておきましょう。
※テフロン加工など、コーティング加工してあるフライパンに重曹は使用しないでください。
●台ふきんの除菌、洗浄
(1)雑菌が繁殖しやすくにおいも気になるキッチンの台ふきんは、定期的に煮洗いしましょう。大きめの鍋に重曹と水を入れ、ふきんを数枚入れて煮立たせます。
(2)10分程度煮沸しながら、数回裏返します。湯を含んで重たいので、トングなどを使用すると便利です。
(3)熱が冷めるまで放置し、よくすすいでしっかり乾燥させます。
煮洗い後の溶液を見ると、汚れが取れたことを実感できます。
(4)煮沸消毒で殺菌され、においもなくなりました。また重曹のアルカリ成分で、菌のエサとなる油汚れも洗浄されてすっきり!
熱を加えることで重曹のアルカリパワーがアップする「煮洗い」は、もとの汚れだけでなく、鍋や台フキン全体が清潔になりリフレッシュします。
また、煮洗い・漬けおき中にほかの洗い物をすれば、時短にもなりますよ。
※アルカリに弱い素材(アルミや銅など)、テフロン加工などのコーティング加工してある鍋やフライパンは変質するので使用できません
※マイクロファイバークロスなど熱に弱い化学繊維、シルクやウールなどアルカリに弱い素材は変質するので煮洗いに使用できません。熱に強い綿や麻素材が適しています
※お湯に重曹を投入すると一気に発泡し、熱湯が噴出して大変危険です。必ず水から溶かして加熱するようにしましょう。また、沸騰すると大量に発泡するので、水は加減して入れましょう