●「平凡だけど退屈じゃない」という言葉の意味がわかってきた
すべての画像を見る(全6枚)「20代の頃は自分を実験台にして、もしかしたらどんどん傷ついていきたいと思っていたところがある気がするのですが、母親になったことで、“安心”や“安全”という事が最優先と考えるようになってきた」と話す田中さん。
「作品の中で伊藤沙莉さん演じる前田ゆかが、『平凡だけど退屈じゃないよ』と幼馴染に言われるシーンがあるのですが、あぁいい言葉だなぁと思いました。とくに今のご時世は平凡な日常を過ごせたらぜいたくなんじゃないかと。この言葉に共感される方も多いのではないかと思います」
では、家族と過ごす日々を大切にされている田中さんが、子育てで意識していることはなんでしょうか?
「子どもが『ねぇママ』と話しかけてきたときには、やはり『なぁに?』と、耳を傾けるように意識しています。本当は、今この家事を終わらせたいからちょっと待ってと思ったりもするのですが、子どもに『ママは自分の方を向いてくれている。話を聞いてくれる』と感じてもらうことを大事にしたいので、そこは意識していますね」
作品では、望月が生徒に「願い」を伝える場面も印象的。そこで、ご自身が「子どもに伝えたいこと」について伺うと「安全に、健康に。のびのび育ってほしい」と答え、こう続けます。
「それが前提にあるうえで、“キレイなものだけじゃない”世の中の危険な一面を、子どもにどう伝えていったらいいかということが、これからの課題だなと思います。私も両親や周りの大人の人たちがきっとそのような事も感じて、守ってくれたんじゃないかと気がつくことも多いので、自分もそんな存在になれたらいいですね」
●仕事の向き合い方は今がいちばん幸せ
最後に、田中さんが昔の自分にも伝えたい「教訓」についても教えてもらいました。
「過去の自分に言いたいことですか? そうですね…『寂しさに振り回されないでほしい』かな? 私は、10代で上京した頃は心細さや孤独に感情を掻き乱されてしまっていたので…。
もちろん今もなにかしらで感情が乱れてしまうこともあるのですが、ただ仕事との向き合い方は、今がいちばんいい状態かもしれないですね。お母さん業も俳優業も、健康を維持して元気にがんばっていきたいです」
「このドラマは、夢や人生にモヤモヤと悩み、人生の分岐点に立っている人たちの群像劇になっています。ESSEonline世代の方にも登場人物誰かの境遇と似てるなど、『わかるー!』と共感して頂けるところも多いんじゃないかと思います。
あの頃もがいていた自分自身を、がんばってたね、すてきだねと、温かく包み込んでくれるような、心に寄り添ってくれる作品だと思います。ぜひご覧頂きたいです」
【Huluオリジナル『あなたに聴かせたい歌があるんだ』】
監督/萩原健太郎 原作/燃え殻
出演/成田凌、伊藤沙莉、藤原季節、上杉柊平、前田敦子、田中麗奈、他
〈Hulu〉にて全話独占配信中(全8話)
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