●夫は外で仕事、私は家のことをやる。同じ家に住むことに
ここから数年経ち、立場が逆転することになります。今、夫の方が頼りがいが出てきて、私を住みやすい部屋を選んでくれ、さらに家賃と光熱費を払い、私は食費を払うという分担ができるようになりました。
すべての画像を見る(全6枚)その理由の一つは、夫が天職を見つけられてしっかり仕事が続いているからです。天職とは訪問介護ヘルパーの仕事でした。出会った当初「1対1で人といられる空間での仕事なら続いた」と言っていた夫の言葉、そして人の話を聞くことが上手いので、これらの要素からできそうな仕事を探した末のひとつが介護ヘルパーの仕事でした。ほかには心理士、カウンセラーなどが浮かびましたが、資格取得期間が最も短いものがヘルパーだったので、まずはこの仕事をすることになり、数年続きました。
夫はADHD気質で抜けが多いのですが、「時間が決まっているシフト」なら遅刻せず行けるのです。ここも強みだと思いました。ちなみに、毎月、毎週、勤務時間が変動するシフトだと抜けが多く忘れてしまいますので要注意です。
そして同じ場所に住むようになった理由は、やはり夫ひとりでは家事全般、自宅のゴミ捨てすらおぼつかないからです。食器も洗えずためてしまい、カビが生えます。冷蔵庫にあるナマモノも捨てないので大変なことになっています。
たくさん働いてほぼ家にいない状態、でもたまに帰ってくると盛大に汚してしまう自分の性質、ここで「さやかさん、家にいてくれませんか」と夫に相談されたのです。
掃除が趣味である私が家にいれば自然ときれいにしていくので部屋が汚れません。そして今は夫が夜勤に入っていてほぼ帰ってこないため、実質私が一人で作業もできます。
●これからも私たちは持ちつ持たれつで暮らしていきます
なぜこんなに抜けが多い夫が介護職をできているのかというと、目の前に喜んでくれる人がいるからです。「目の前の報酬に直結すると動ける」とADHDの友人から聞いたのですが、性質がよく作用しているのかもしれません。そして他の時間帯に来るヘルパーさんたちも掃除や調理を少しずつして帰るので、マンパワーと思いやりに囲まれている状態なのです。
これを機に私は稼ぐことより、たとえ家計が一時的に赤字でも本当にやりたい仕事、やるべき仕事をすることにしました。そして黒字になったとき、また夫を物理的にも支えようと思っています。
私は人生で初めて「家族で持ちつ持たれつな関係を持てる」ということを実感しました。このような経験ができ、とてもうれしく感じています。