家は内装によってガラリと印象が変わります。予算が厳しくても、シンプルな内装材を使い丁寧に仕上げれば、落ち着いた和の雰囲気にすることも可能。また、アクセントウォールでリズミカルに空間を分けると、場所ごとに気分が切り替わります。百聞は一見に如かず。子どもがのびのび育つ家から、50代のおだやかに暮らす家まで、内装材の使い方でまったく印象が変わった4つの事例を紹介しましょう。
すべての画像を見る(全18枚)Case1.木の温もりにドイツ漆喰をプラス。リネン戸から優しい光が降り注ぐLDK
Tさんの家 三重県 家族構成/夫50代 妻50代
設計/服部信康(服部信康建築設計事務所)
Tさんの家は、北側に広がる田園風景と自然光を取り込めるように、くの字型にカーブする平屋建て。南北には家庭菜園を楽しむ庭を配置し、LDKにはその庭を眺める窓を設けました。
ワンルームのLDKは、造作のテーブルやカウンターなどでゾーニングしています。
床はチーク材の複合フローリング。天井は杉上小節板張りに。本物の漆喰のように見える壁は、フェザーフィールという、大理石の細かな粒子と天然の接着剤を主成分としたもの。別名、ドイツ漆喰ともいい、ローラやハケで、比較的簡単に塗れ、DIYでも人気の商品です。
戸の窓には、「ホコリを巻き込みやすいカーテンは好きじゃない」という妻の言葉から生み出された、オリジナルのリネン戸を採用。
通気性・保湿性に優れた亜麻のリネンを木製建具ではさみ込み、やわらかな光を取り込みます。
「夫妻の暮らしに合うように落ち着き感をもたせながら、奥行きを感じさせる空間づくりに配慮しました」と、設計者の服部さん。
庭での家庭菜園が趣味という暮らしに寄り添う、おだやかな空間が生まれました。
Case2.シンプルな内装材も丁寧な仕上げで、デザインが引き立つ空間に
Mさんの家 神奈川県
設計/デザインライフ設計室 撮影/水谷綾子
「和」のすがすがしさを感じさせるMさんの家は、コストバランスとデザインの調和を重視してつくられています。
LDKを配した2階は、天井にラワン合板を用いて屋根の傾斜を軽やかに演出。床は天然木の表情が楽しめるようにタモ複合フローリングを張り、壁は夫妻の要望で漆喰に。繊細なデザインの障子は、木や漆喰と好相性。内装材の種類を抑えることで、静ひつなデザインが一層引き立つ空間となっています。
対する1階は、床・壁・天井をラワン合板で統一。床や壁はオイル塗装するなど、安価な材料を丁寧に扱って、コスト以上の仕上がりに。また、「畳スペースが欲しい」という夫妻の要望で、寝室は本畳より手頃な価格の畳マットを活用しています。
造作のゲタ箱も、壁になじむように同じ素材で製作。
洗面室のL字型カウンターや収納もラワン合板で造作しました。