97歳の現役看護師で、『死ぬまで、働く。』(すばる舎)を出版された池田きぬさん。現在、サービスつき高齢者向け住宅「いちしの里」で看護師として週1~2回仕事をし、ご自宅でひとり暮らしをしています。
2人の息子さんたちは「近くに住もう」と言ってくれていますが、「主人が20年ほど前に亡くなってから、ずっとひとり暮らしです。ひとりのほうが気がラクなんです」と池田さん。住み慣れた平家に、住み続けています。幸い、近くに、亡くなったお姉さんの子ども、姪と甥が住んでいるので、なにかと助けてもらっているようです。
今回は、そんな池田さんの毎日の暮らしを少しだけのぞいてみました。
97歳、池田きぬさんの暮らし。「ひとりのほうが気がラクなんです」
「90歳を過ぎた頃から、家のことをすると疲れが出てくるようになった」と池田さん。掃除機は月1回くらいしかかけないし、ゴミ出しは量が少ないと「次回にまとめて」とサボってしまうこともあると、リアルな現実も教えてくれています。できなくなることが増えるのは、やはり寂しいと思うようです。
●家のことは目標にする。一つでもできたら達成感がある
そこで、今は「目標を立てる」ことをしています。メモ用紙に、日付を書いて、部屋の掃除、南の庭の草引き(=草取り)などやるべきことを目標として書き出しておきます。そして、実際にできたことは、手帳がわりにしているカレンダーに転記。
「目標通りに行かないことも多いけれど、一つでも二つでもできたら、達成感があってうれしいですね。仕事の前日は、目標を少なくして、疲れないようにメリハリをつけています」
そんな池田さんの日々の楽しみは、庭の家庭菜園と花壇の手入れ。朝5時に起きて、毎日30分~1時間くらい草引きをしています。家の掃除はあんまりしないけれど、庭の草引きは苦ではないとか。毎日のいい運動にもなっています。
●「食べる・歩く」は、やっぱり大切なこと
「ずっと忙しく働いていたので、ろくな料理をつくっていなかったんです。主婦失格やね」と、笑う池田さん。この年になって、料理を楽しむ気分的な余裕が出てきたとか。ときどき、夕方のNHK番組の「ニュース シブ5時」の料理コーナー、新聞の料理ページなどを参考に、料理をつくることもあります。「この間、春巻きをつくりました。でも、どうしても形よくできませんでした」。それでも、新しい料理に挑戦することは、「楽しみやな」と思うそうです。
とくに、これといった健康法はないそうですが、強いて言えば、看護師は体力が必要なので、「しっかり食べること」が大切だと思ってきました。今はルールをつくらず、自分のお腹の声を聞いて食べています。一つだけ気をつけているのは、夕食は腹8分目にすること。夕食をたくさん食べると、入眠が遅いように感じるからです。
最近、おいしいなと思うごはんは、仕事が終わった後に職場食べる、自作のお弁当。体と頭と使ったあとなので、程よくお腹が空いています。
それから、もう一つは「なるべく歩くこと」。職場にも、家からバスで行くようにしています。家からバス停までは歩いて大体10~15分。バス停から職場までも同じくらいなので、出勤する日は2000歩くらい歩いています。
近くに住む姪の旦那さんに「車で乗せて行ってほしい」とつい甘えたくなりますが、「歩く訓練をしないとあかん、頼んだらあかん」と思って、がんばって歩きます。銀行や郵便局に行くときも、頼らずに自転車で行きます。自転車は、なるべく人がいない道を。乗らなくても押して歩くのもラクなので重宝しています。