自宅にアウトドアリビングをつくって、バーベキューやキャンプ気分を満喫しましょう。「調理場、水道、電気のある外空間にすれば、これほど楽しく、ぜいたくな場所はない」。そう話すのは、一級建築士の守谷昌紀さん。自身が設計した、条件の異なる5つの事例をもとに、アウトドアリビングのつくり方を解説してくれました。新築はもちろん、リノベーションでも活用できるアイデアも!
すべての画像を見る(全35枚)事例1. 高台の眺望とバーベキューを楽しむアウトドアリビング
こちらの家は、南に面した傾斜地に建っています。東側は4mほど下がっており、とくに南東への眺望がすばらしい敷地でした。
周辺から視線を気にしなくてもよいように、2階バルコニーの壁を2mほど立上げました。そして、南東角にL字の開口部を設けています。
アウトドアの魅力は、自然と一体となり、開放的な気分を味わえること。でも、他人の目があると、そうはいきません。つまり、快適なアウトドアリビングをつくるいちばんのポイントは、「プライバシーの確保」にあります。
そういう意味で、身長より高い2mの壁には、非常に大きな役割があるわけです。
アウトドア料理の醍醐味、炭火でのバーベキューを楽しむ場合には、火の粉についての配慮も必要です。こちらの家は鉄筋コンクリート造なので、床もコンクリートとしました。これなら火の粉も、汚れもすぐに水で流すことができます。
「日よけ」があることもポイント。バーベキューの食材は、海鮮、肉などのように、暑さに弱いものです。
こちらの場合は、1.2mの深い庇(ひさし)を設けました。高い位置にあとで日よけを設けるのは意外と難しく、計画の段階で設計に織り込んでおくことがとても重要なのです。
日よけは、ただ深ければよい訳でもありません。夏の日差しはさえぎり、冬の日差しは一切さえぎらないのが理想です。
それが内部空間とのつながりを、よりよくすることにもつながります。
事例2. 密集地の狭小住宅でも楽しめるアウトドアリビング
こちらは、市街地の20坪ほどの小さな敷地に、プランしたケースです。南側正面にマンションが建っていたので、そのから目線をさえぎれるよう、イタウバという堅木のルーバー(隙間をあけて細長い板を平行に並べたもの)で、アウトドアリビングをおおいました。
2階に18畳のLDKがあり、その南に7畳のアウトドアリビングがつながります。サッシをフルオープンとすれば、「18+7=25」畳が一体の空間となるのです。
3階のバルコニーから見下ろすと、その形状がよくわかります。
アイランドキッチンに連続するダイニングテーブルから、斜めに目線が抜けることで、より広さを感じるようにプランしてあります。
キッチンが近くにあると、文字通り「外食」の準備もラク。
こちらのご家族は、ホットプレートを使っての料理がお気に入り。外空間なら、煙やにおいも気にする必要がありません(もちろん、近隣への配慮は必要です)。
屋外用のコンセントは、どの位置でどのような料理をするかまで考えて、配置しておきたいところです。
イタウバは、フィールドアスレチックの遊具にも使われる強い材料です。そのルーバーで囲われたアウトドアリビングは、子どもにとって格好の遊び場。
雨風に強い材料を選択すること、屋外用コンセントの位置が重要なことを、知識として覚えておきましょう。