建具やちょっとした意匠に妥協せずこだわりました
すべての画像を見る(全23枚)建具の意匠にどことなくオリエンタルな雰囲気が感じられるのは、夫妻の趣味を反映してのこと。「そのままだとただの古民家カフェ、古民家ゲストハウスになってしまうので、建具のデザインにはこだわりました」(夫)。
広間に面したカウンターは、簡単な食事ができるくらいの広さがあります。夫の作品の顧客や、近所の人をもてなすのにもちょうどいい大きさです。
野菜は自分の畑と近所の農家から分けてもらったもので、十分にまかなえるそう。「スーパーに行く回数も減りました」(妻)。
ハーフビルドで苦労したのは、工務店が行う工程とのスケジュール調整だったと、ふたりは口をそろえます。「最初は建具が1日1枚もできなかったし、中の木材に色を塗るのも大変でした」(夫)。
高い天井と広い土間。ほぼ間仕切りのない開放感が特徴的なKさんの住まい。写真では新築には見えませんが、柱・梁などの構造はもちろん取っ手ひとつに至るまで「汚し」が施されています。
北側に位置する寝室。朝起きた瞬間に西の窓から北アルプスが見えるぜいたくさ。「文字どおり寝るだけなので、大きさは最小限にしました」(夫)。
宿泊客用の部屋。日中は広間で過ごしてもらうことを想定してここも最小限です。「将来子どもが生まれたら、ここを子ども部屋にするかもしれません」(妻)。
宿泊施設として設計されているため、洗面は3か所、トイレは2か所設けられています。これは東側中央の洗面スペース。洗面ボウルと水栓だけの質素な空間になっています。
引き戸を開けて外から見た工房。天井からつるされた照明の硬質でモダンな雰囲気が工房の空気を引き締めます。中央の作業机は夫が陶芸と向き合うのに十分なスペースを確保。
アプローチから見るKさんの家の外観。腰高の鎧壁(よろいかべ。壁の仕上げ方のひとつで、板を少しずつずらして張り重ね、鎧のように見せる)も夫の施工です。
間取り図
力強い柱梁が印象的な空間。棟上げまでをプロに頼み、あとは夫婦が加わってつくり上げました。
Data
敷地面積/577.05㎡(174.86 坪)
延床面積/144.91㎡(43.91 坪)
用途地域/都市計画区域外
建ぺい率/無指定
容積率/無指定
構造/木造軸組工法
竣工/2021 年7月
素材
[外部仕上げ]
屋根/ガルバリウム鋼板+下屋杉皮竿縁押さえ
外壁/漆喰仕上げ、杉板鎧張り
[内部仕上げ]
床/タタキ仕上げ、モルタル金鏝仕上げ、 杉+塗装
壁/黒漆喰 天井/杉板張り
設備
厨房機器:オリジナル
衛生機器:TOTO、クリナップ
窓・サッシ:オリジナル、三協アルミ
施工/佐藤建設
設計/坂利春・柳彩香(S/A 坂利春建築研究所)
取材協力/11colaboratory(ゲストハウス・飲食店舗)
※情報は「住まいの設計2021年12月号」取材時のものです