部屋が片づけられない、どうしてもがんばれない…そんな自分をつい責めてしまっていませんか?  こうした悩みのほとんどは、「じつはやる気や努力といった精神論の問題ではなく、人間の持つ『生理的な仕組み』に原因があります」と教えてくれたのは、作業療法士の菅原洋平さん。この仕組みを知り、本来の自分のパフォーマンスを取り戻すルーティーンを教えてもらいました。

起きれない女性
できない自分を責めていませんか?(※写真はイメージです)
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できない自分とはおさらば!今日から変われるルーティーン

「朝、起きがけにネットニュースをくまなくチェックしている」「ToDoリストをパソコンやデスクに貼り出している」「休日は寝だめしている」など、何気ない行動がルーティンになっている方は多いのではないでしょうか。

しかし、「じつはそれが脳を混乱させて、日々の生産性を低下させているかもしれません」と語るのは、作業療法士の菅原洋平さんです。

菅原さんの著書『「できない自分」を脳から変える行動大全』(扶桑社刊)には、このような行動がなぜパフォーマンスを低下させ、自身を「できない自分」と思い込ませてしまうのか? その理由とともに、生体リズムや脳の仕組みを活用した改善方法を紹介しています。

「例えば、タスクや予定の先延ばしグセや集中力が続かない、要領が悪いなど…。こうした悩みのほとんどは、じつはやる気や努力といった精神論の問題ではなく、人間の持つ『生理的な仕組み』に原因があります。私たちが普段何気なく行っている行動パターンや、生活習慣が、脳と体のうまい連携を邪魔していたり、自律神経の本来の働きを発揮させなくしたりしているのです」

本書では27のお悩みシチュエーションに合わせて、どういう行動を取ると脳が変わって問題が改善できるのか、100項目の解決策や対応策が掲載されています。ここでは、その中から3つのお悩みシチュエーションを紹介し、それを解決するための行動習慣を解説してもらいました。

●お悩み(1)部屋がぐちゃぐちゃで片づけられない

片づけられない女性

いざ掃除を始めようと部屋を見まわしたら、シンクには食器が山盛り、クローゼットから服が溢れて、テーブルもぐちゃぐちゃ…。何から手をつけたらいいかわからない!

そんなときの解決策は

作業のついでにテーブルの上だけ片づける

片づけを先延ばしにしていると、「一気に片づけてしまおう」という気持ちになってしまいますが、こうした「経験のない目標」を設定すると、脳は予測できない状況になり動きが止まってしまうとか。

「まずは日常的におこなってきた動作の後に、1つだけ新しい行動をくっつけてみましょう。すると、半分は経験したことがある『ハーフタスク』を作ることができます。この『ハーフタスク』によって、脳にとって安全が保障されたうえでの挑戦になるので、適度なリラックス状態になって、体への負担を軽減することで課題に取り組みやすくなるでしょう」

●お悩み(2)自分で決められない

自分で決められない女性

何を選ぶにもダラダラ悩み続けて時間がかかる。人の意見を聞けば聞くほど自信はなくなるけど、自分のルーティンも守らないと不安になってしまう。

そんなタイプは、

いつもと反対側の歯から磨く

自分でなかなか決断ができなければ、「わざといつもとは違う行動を意識的に選択してみましょう」と、菅原さんは語ります。

「例えば、食事の順番を普段と逆にしてみたり、歯磨きを反対側から始めてみたりする。脳には、負担を軽くするために、過去におこなった行動を記録しておく仕組みがあり、日常生活のルーティンの多くは無意識の行動で成り立っているのです。だから、些細なことでも脳に『自己選択』を経験させることで、自ら選んだ行為をうまくできるよう脳が工夫を始めてくれるように変わるのです」