50代、60代になり、ものを減らし身軽に暮らしたい。そう思ったときに、なにから手をつければいいのでしょう。ここでは、5年前の住み替えをきっかけにものを減らし、その後もものが増えたら見直しをしながら小さな暮らしを続けている料理研究家の藤野嘉子さん(64歳)に、少ないもので暮らすヒントを伺いました。

テーブルでお茶を飲む夫婦
夫婦2人でコンパクトに暮らす、料理研究家・藤野嘉子さん宅のすっきりとしたダイニング
すべての画像を見る(全5枚)

部屋が狭くても大丈夫。ものが減ればおおらかに暮らせる

片づけが苦手で、たくさんのものに囲まれて暮らしていた藤野さん。そんな藤野さんがものを処分したのは、150㎡の持ち家マンションから、65㎡の賃貸マンションへの住み替えがきっかけでした。

売却から引っ越しまでわずか1か月。半分以下の広さになるため、たくさんのものを短期間で手放しました。こうして意図せず始まった、ものが少ない小さな暮らしですが、「快適で幸せ」と、きっぱり。

●空間の見とおしがいいから、心も身軽に

「空間の見とおしがいいから、家にいるだけで気持ちが休まり、疲れが取れるんです。明日もがんばろうというエネルギーも自然と湧いてきます。捨てるのが不慣れでたくさん失敗したけれど、それを上まわるほどの心地よさです」と、藤野さん。

キッチンに立つ女性
2人立つと満員御礼のキッチンでも、収納力のある棚を置くことで使い勝手よく

心が身軽になったのも大きな収穫でした。ものへの執着がなくなることで、これまで自分を縛ってきた、「こうでなくては」という想いから解放され、とても軽やかになったと笑顔で話します。

関連記事

見える空間だけでもものを少なく。50代からの風とおしのよい暮らし方

60代からは無理をしない。気楽にものを減らすコツ

「住み替え時にちょっと捨てすぎちゃって…」と話す藤野さん。そんな経験をしたからこそ見つけた、片づけが苦手でも無理せずにものを減らすコツを一部ご紹介します。

●判断基準はヘビーユーズかどうか

調理道具4点
ほぼ毎日使う、ザル2種類、ニンニクおろし、菜箸として使っている盛りつけ箸の4点セット。ザルは20年以上愛用。

基準があると時間をかけずに捨てられます。藤野さんの基準はヘビーユーズしているものを残し、それ以外を捨てること。

「ヘビーユーズしているものは、色があせたり傷がついたりと汚れています。使い勝手が悪いものはずっと新しくてきれいなまま。シニアになると、好きでよく使うものは決まってくるから分かりやすいと思います」