●必死で施設を探すため全国に電話。義母は泣いて嫌がり…

目をおさえる人と支える女性
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「もう限界だ、もう無理! と思って、あとは早かったです。ネットで介護施設を検索できるポータルサイトを見つけて、片端から電話しました。200件くらいかけたんです。そうしたらなんと、年金の範囲で、要介護や要支援の状態を問わずに面倒を見てくれる施設が近隣県であったんです。しかも個室。ここしかないと思ってすぐに見に行きました」

大山さんがその介護施設を見つけたのは3月の末。義母さんを前年の暮れに引き取ってから、3か月とちょっとでした。

「義母には『行きたくない』と泣かれました。でもうちも限界。施設か義弟のところか、どちらかしかないと夫から話しました。義母はそれでも義弟の家はいやだったみたいで、最後はしぶしぶ承諾したんです」

●施設に入ったら、結果的によかった

施設に行く日には“映画のように”義母が泣き、罪悪感でいっぱいだったという大山さん。でも今では全員にとってよい選択だったと感じているといいます。介護施設は、義母と同年代の地元のやり手実業家が経営しており、よくも悪くも「緩い」部分が、義母に合っているそう。

「施設の運営が管理的ではないんです。お酒やたばこもOKですし、社長が自分のポケットマネーでカラオケに連れていってくれたりもします。お酒は『月3本まで』と決めてうちから送り、その範囲で飲ませてくれています」

最近義母と電話で話したところ、同じ施設の96歳のおばあさんにいじめられていると文句を言っていたと言います。大山さんはそんな義母に「気が強いんだから、言い返しなさいよ」とはっぱをかけたと笑います。もし症状が悪化し再び要介護認定を受けたら、以前は入れなかった施設に再度申請するつもりです。それまでは、今の場所で楽しんでほしいと思っているとか。

「今はコロナで行けないんですが、以前、見に行ったときには、何だかんだ文句を言いながら楽しそうでした。ずっと世話をしてくれる専門のスタッフさんもいますし、おもしろい経営者もいます。時間的にも経済的にもゆとりのないわが家にいて一人でお酒を飲んでいるより、ずっといいんじゃないでしょうか」

大変だった日を乗り越え、義母にとっても大山さん夫妻にとってもいい環境に落ち着きました。

※この内容は個人の体験談であり、地域や施設によって異なることがあります。