令和になっても高級パンのブームが続いています。同時に根強い人気を誇っているのが、魅力あふれるバターの世界。家でつくる料理の味も、香りがお店のように引き立つと話題です。
食に造詣が深いライターの朝岡真梨さんが、4つの高級バターを食べ比べしてくれました。
おいしさの秘密は“チャーン製法”!輸入バターvs日本のバター徹底比較
本場・ヨーロッパから直輸入しているバターと、日本でつくられているこだわりのバターを4種類食べ比べ。コスパやおいしさの感想をご紹介します。
すべての画像を見る(全13枚)今回用意した発酵バターはこの4つ。
・PUR NATUR オーガニック発酵バター
・エシレ バター 50g ポーション
・帝国ホテル特選発酵バター
・カスピ海ヨーグルトの発酵バター
どれも大手百貨店やオーガニック食材も取り扱う高級スーパーなどで販売されている売れ筋商品。少し値は張りますが、おいしいパンと一緒に食べてみたいなと、以前から気になっていたバターをピックアップしてみました。
●コスパを比較してみました
すべて税込みの販売価格を比較してみました。
・PUR NATUR オーガニック発酵バター:200g(2000円)
・エシレ バター 50g ポーション:50g(619円)
・帝国ホテル特選発酵バター:113g(918円)
・カスピ海ヨーグルトの発酵バター:170g(864円)
※価格はすべて税抜きです。
量がそれぞれ異なるので、参考までに100gあたりのおおよその値段を計算してみました。
・PUR NATUR オーガニック発酵バター:1000円
・エシレ バター 50g ポーション:1238円
・帝国ホテル特選発酵バター:808円
・カスピ海ヨーグルトの発酵バター:509円
国産の帝国ホテルやカスピ海ヨーグルトのバターに比べると、輸入品であるPUR NATURやエシレはちょっと割高な気がしますね。
●エシレはサイズが豊富!ネットでまとめ買いすればさらにお得に…!
エシレはテーブル用として販売されている50gを実際に店頭で買ったときの価格で計算しましたが、30gポーションの食べきりサイズから100g、250gのキッチン用サイズまで、使い勝手に合わせて選ぶことができます。
100gサイズで販売されている店頭価格は1085円ですし、ネット販売も充実していて、30gポーションをまとめ買いするとさらに割引率が高くなることも。
フランスからの空輸品ですが、賢くお買い物すれば、おトクに入手できそうです。
●高級発酵バターのトレンドはチャーン製法
今回ご紹介する4つの高級発酵バターは、パッケージや公式HPなどで、生乳から分離したクリームを「チャーン」という装置でかくはんして練り上げる「チャーン製法」でつくられていることが明記されていました。
これはヨーロッパに伝わる昔ながらの製法で、非常に時間がかかるため、あまり効率がいい製法とはいえません。その分、なめらかな口当たりを実現することができるのだそう。まさにつくり手のこだわりが伝わってくるような逸品ぞろいです。
それでは気になるバターの味わいを比較していきましょう!
ベルギー産・フランス産・国産バター!風味はどれくらい違うの?
実際のバターを、それぞれバゲットに塗りながら、食べ比べをしてみました。
●EU(欧州連合)オーガニック認証の「Pur Natur オーガニック発酵バター」
美食の国・ベルギーから直輸入の「Pur Natur オーガニック発酵バター」は、ビューリンゲン村という自然豊かな場所で、アルデンヌ地方の伝統製法を継承した、2人の職人(アルチザン)によってつくられています。
ベネルクス3国(ベルギー、オランダ、ルクセンブルグ)のなかで、手間のかかるチャーン製法でバターを製造しているのは、このPur Natur社だけとのこと。
パッケージの裏には、EU産有機農産物マークも。
有機酪農家が飼育する認められた肥料等を使用し、オーガニックの生乳を使用しているため、厳格な基準で知られるEU(欧州連合)オーガニック認証も取得。100%オーガニックにこだわっているところも特徴です。
やわらかくクリーミーで、脂肪分がしっかりしていました。スッキリとしたコクで、ミルク感のしつこさもなく、キレ味がいいバターです。ホワイトソースなどをつくるときにもよさそう。食塩不使用なので、これだけでパンを食べると少しものたりなさを感じるかもしれません。
●AOP認定を受けた数少ないバター「エシレ」
1894年の創業「エシレ」は、ワインなどでよく聞く、「Appellation d'Origine Controlee(アペラシオン・ドリジヌ・コントローレ)」=「原産地呼称」をバターで初めてフランス政府により付与された、世界的な人気を誇る有名なバターです。
発酵を促す乳酸菌も、昔から受け継がれていて、三ツ星シェフや一流パティシエからも愛されています。
木製のチャーン(かくはん機)を使って製造していることを公表しているのもエシレだけ。その柔らかさは、今回の4つのなかでもダントツでした!
現代ではステンレス製のチャーンが広く使われていますが、木でかくはんすることで、あのふわっとした、エシレにしかないマイルドな口当たりを生み出しているんですね。有塩か無塩かをチョイスできるのもうれしいポイント。
●パンとの相性ばっちりな「帝国ホテル特選発酵バター」
アルミに包まれただけのヨーロッパのバターとは一線を画す、日本のバター。とくに帝国ホテルは箱入りで、バターはビンに詰められています。これは風味を保つために、空気に触れないようにしているから。バターケースがなくても使い勝手がいいですね。
ブランド力と格式の高さは、お料理が好きな人へのプチギフトにも喜ばれそう。
フタをあけた瞬間に、バニラのようなふくよかな香りがふんわり漂います。4つのなかで、コクを最も強く感じました。塩味のバランスもよく、香ばしく焼いたパンに塗ったときに、一番味が引き立っていると感じました。
●爽やかな酸味は料理にも!「カスピ海ヨーグルトの発酵バター」
北海道産の自家製クリームを、ねばりが強いカスピ海ヨーグルトの乳酸菌で発酵させたという「カスピ海ヨーグルトの発酵バター」は、その名の通り、ヨーグルトのような酸味が際立っています。
内側はプラスチックのケースに入っていました。有塩バターですが、塩分自体は1.0%と控えめ。価格もお手頃なので、お料理やお菓子づくりなど、さまざまなシーンで気軽に使いたくなります。
ちょっと値は張るけれど、驚くほど軽やかな風味を楽しめるヨーロッパのバターと、リーズナブルなのにケース入り、塩味がほどよく効いている日本のバター。どれも個性的で、パンをいただく食事の場面がワクワクしました。
パン好きな人、おいしいものが好きな人は、バターもこだわりの逸品をチョイスしてみてはいかがですか?