●家具を固定することの重要性

避難の最中に通りかかる新しい家のなかの様子も印象的でした。建物の外観に被害こそないものの、窓から見える内部の様子にも驚かされます。

窓から見える内部の様子にも驚かされます
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しっかり家具が固定されている部屋は、壁の時計が床に落ちていたり、棚のものが散乱していたりと、それなりの被害はあるものの、すぐに建物の外へ逃げられそうな状況ではあります。

家具を固定していない隣の部屋

ところが、家具を固定していない隣の部屋は、大型の家具が折り重なるように倒れていて、もしこのリビングに人がいたらと思うと、ぞっとするほどの状況でした。「うちの家具ってどうなっていたかな?」と、帰宅後に真剣にチェックするきっかけにもなりました。

ARを通じて室内の適切な防災策を学ぶこともできます。

●首都直下地震が発生した場合の避難のしかた

首都直下地震が発生した場合の避難のしかた

シネマコーナーでは、冬の夕方18時に首都直下の震度7が起きた場合の都内の様子をCGで再現された映像が上映されています。大型振動台をつかって、住宅や橋脚、高層建築物の室内の揺れ具合などをシミュレーションした実験映像もありました。

外出先で地震にあったら、安全な場所にとどまり、むやみに移動しないことが推奨されています。できれば、地域の住民と一緒に避難できるといいそうです。

ただ避難する場所も、混乱を防ぐための一時(いっとき)避難所や、大火災に備えられた避難場所、津波が来る心配があるときには高さのある場所など、瞬時の正確な判断こそが生死を分ける可能性もあります。答えはひとつではないですし、臨機応変な判断力が求められる場面だと感じます。

●避難所生活のリアル

避難所生活のリアル

避難所におけるトイレ事情も、様々なケースが紹介されています。

様々なケースが紹介されています

ここでもタブレットを使って、避難所での注意事項などをチェックできます。

東日本大震災の福島県いわき市内の避難所の事例を再現したコーナーでの体験も衝撃的でした。震災直後は隣の人と仕切る段ボールもなく、床に毛布を敷いて睡眠をとるような生活が続いたところがほとんどだったそう。報道でみて、知っているようなつもりでいましたが、実際にその環境を目の当たりにすると、その過酷な状況に言葉を失いました。

単身の人のスペースは1畳分程度

単身の人のスペースは1畳分程度しかありません。私も実際に靴を脱いでなかに上がってみました。スタッフの人から「ここにある生活用品が、持ち込めたすべてです。この環境で先が見えない避難生活をしていくことを、ぜひ想像してみてください」と言われました。

洗面器に入った石けん、たった1つのハンガーに干された手袋、娯楽もプライバシーもなく、お鍋もひとつで、どんな食事をとるのか…。小さな時計とカレンダーの数字を見るだけで、気が遠くなりそうでした。

予約なし、参加無料!家族で出かけて、防災意識を高めよう

そなエリア東京

今回ご紹介したのは、国土交通省が設置する東京臨海広域防災公園にある「そなエリア東京」という防災体験学習施設のツアー。個人での利用なら予約の必要もありませんし、だれでも無料で参加できます。

※ただし20名以上でお越しいただく場合は、団体予約が必要です。

今回私が参加したのは、一般向けの外出先にいるパターンのツアーでしたが、ほかにも小学生向けや自宅にいる場合の内容などもありました。

いざ自分に危険が迫ったとき、悲惨な被災現場に出くわしてしまったとき、自分がどういう精神状態になるか、具体的な気分までイメージしながら体験でき、その瞬間の反省ひとつひとつが災害への備えにもなるのではないかと思います。

ほかにも、津波避難体験コーナーや過去の震災の被災者の声から自助の知恵を学ぶコーナーなど、施設のなかは展示が盛りだくさん。

施設のなかは展示が盛りだくさん

災害時に使用されるという2階のオペレーションルームは、映画『シン・ゴジラ』にも登場した人気の見学エリアだそうです。

ぜひ今度の休日にご家族でお出かけして、防災について考えてみてはいかがでしょうか?