50歳の漫画家・古泉智浩さん。古泉さん夫婦と母(おばあちゃん)、里子から養子縁組した長男・うーちゃん、里子の長女・ぽんこちゃんという家族5人で暮らしています。
今回は、うーちゃんとぽんこちゃんを連れて公園に行ったときのお話。
親子3人で公園へ。兄妹で関心がはっきりわかれました
日曜日の夕方、近所の児童公園にうーちゃんとぽんこちゃんを連れて行きました。小さな公園で、遊具は滑り台、ジャングルジム、砂場、ブランコくらいしかありません。草木が多く茂っています。
ぽんこちゃんは家の庭に置いてあった子ども用のオレンジ色の小さいバケツを、手さげかばんのように腕にかけて来ました。公園に足を踏み入れると、そのバケツを入り口に放り捨て、一目散に滑り台に向かっていきます。
すべての画像を見る(全4枚)それも、滑り台の滑る方から登って階段を下りて地面に着いたらまた階段を上って、ようやく滑ります。滑り降りると満足そうに立ち上がって拍手をするので、「すごいぞ」と言って拍手してあげました。
これを何度か繰り返した後、ブランコにも乗りたがりました。自力では乗れないので体を持ち上げて、乗せて鎖を握らせます。前後に数回ゆらすとすぐに降ります。
うーちゃんはブランコが怖いようで、近づくだけで一切乗ろうとしません。無理強いして本格的に恐れるようになっても困ります。もしかしたら僕の知らないところで怖い思いをしているのかもしれない。
うーちゃんは「虫取りをする」と言って、滑り台の下で虫を探し始めました。
ぽんこちゃんは再び滑り台の往復に取りかかっています。高いところに上るので目を離したくないのですが、うーちゃんを放置するのもかわいそうです。ぼくが滑り台の下の茂みの草をずぼっと抜くと、ダンゴムシやおなら虫(編集部注:くさい液を出す虫)などがいたので、それを子ども用のバケツに入れました。
うーちゃんが「なにを食べるの?」と聞いてくるので「葉っぱじゃない?」と適当なことを言うと、落ち葉を拾ってバケツに入れて「パパの部屋の水槽で飼おうよ」と言いました。
ぼくの部屋には以前小魚を飼っていた水槽があります。しかし、そんなダンゴムシやおなら虫を持って帰られても困ります。「ママが困るからダメだよ」と言って断りました。ぼくは雑草と一緒にドクダミを抜いてしまって手がくさくなりました。
今度はうーちゃんが水飲み場に行って水を飲みました。ぼくも手を洗っていると、滑り台からぽんこちゃんがやってきて水を飲みたがりました。
しかし上に噴出するタイプの水飲みなので、ぽんこちゃんはうまく顔を寄せることができません。
ぽんこちゃんを抱き上げて顔を水に近づけると、手をかざして両手が水浸しに。いったんおろして両手を抑えて身動きできない形で抱き上げて顔を水に近づけたら、ようやく飲ませることができました。
その後、噴き上げる水で遊ぼうとしていたので、放置していたら大変なことになると思い、水飲みの蛇口を固く締めました。ぽんこちゃんは不満気でしたが、蛇口の周りに溜まった水を手でばちゃばちゃして遊んでいました。
そうこうしているうちに辺りが暗くなってきたので、帰ることにしました。ぽんこちゃんはお出かけが大好きなので、帰ろうとすると首を振って嫌がり、手をつなごうとすると走って逃げます。走り出したところを捕まえて抱き上げました。公園は自宅と同じブロックなのでほんのちょっと歩けば着きます。
バケツの中の虫を逃がすように言っても、「持って帰る」と譲らないうーちゃん。無理に取り上げるとどれだけ怒り出すか見当もつきません。「じゃあ、うちに持って帰ってもいいけどお庭に逃がすんだよ」と言うとやっと納得してくれました。
うちには建物に囲まれて日がほとんど差さない暗い庭があります。その茂みに、うーちゃんは虫を放ちました。
【古泉智浩さん】
漫画家。1969年、新潟県生まれ。93年にヤングマガジンちばてつや賞大賞を受賞してデビュー。里子を受け入れて生活する日々をつづったエッセイ
『うちの子になりなよ ある漫画家の里親入門』、その里子と特別養子縁組制度をめぐるエピソードをまとめたコミックエッセイ
『うちの子になりなよ 里子を特別養子縁組しました』など著書多数。古泉さんの最新情報はツイッター(
@koizumi69)をチェック!